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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百八十三話 休息の陰で
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た。クナップシュタインも笑っている、ようやく安心したらしい。

「司令長官より今後のことについて指示を受けている。卿らにも説明するが、先ずは座ってくれ、今男爵夫人がコーヒーを淹れている」
「男爵夫人がですか?」

俺の問いに参謀長は重々しく頷いた。
「勝ち戦のご褒美だそうだぞ、トゥルナイゼン少将。次に味わえる日が何時来るのか分からん、心して味わうのだな。但し、味の保証は私はしない。フィッツシモンズ中佐が手伝っているから、そう酷い事にはならんだろうが……」

「参謀長、まさかとは思うが司令長官はそれが原因で逃げたのではないだろうな。大体中佐はコーヒーが淹れられるのか? ココアを淹れているのは見たことがあるが」

「副司令官閣下、小官はそのどちらの質問に関しても答える権限を持っておりません。ノーコメントです。但し一言御忠告いたしますと、いかなる意味でも御婦人方の名誉を傷つけるような行為は慎むべきかと愚考いたします」

クルーゼンシュテルン少将とワルトハイム少将が互いに生真面目な表情で話している。一瞬妙な間が有った後、誰かが笑うとつられた様に皆で笑っていた。

「どうやら、出来たようだな」
グリルパルツァーが艦橋の出入り口の方を見ながら呟く。確かに出来たようだ。男爵夫人とフィッツシモンズ中佐がコーヒーを持ってくるのが見えた。

コーヒーが配られる、香りは悪くない。一口含んでみた、味も悪くは無い、なかなかいける。周囲を見渡すと、皆互いに視線を交わしている。予想以上に美味しいので驚いているようだ。

「さて、司令長官より今後の行動方針を皆に説明するようにと言われている。良く聞いて欲しい」
ワルトハイム少将の言葉に皆自然とコーヒーカップをテーブルに置いた。

「我々は此処に止まり、メルカッツ副司令長官と合流する。合流後はレンテンベルク要塞を攻略する事になる」
予想外の言葉だ、皆顔を見合わせた。

「参謀長、オーディンに戻るのではないのですか、司令長官の御身体を考えればその方が良いと思うのですが」
クナップシュタインの言葉に皆が頷いた。

「私もその事は言ったのだが司令長官は休息はレンテンベルク要塞で取るの一点張りでな、説得できなかった」
「……」

「レンテンベルク要塞を攻略後は、そこをオーディンと討伐軍との間の補給、通信の中継拠点、後方支援拠点として司令長官が使用するつもりのようだ。前線は殆どメルカッツ副司令長官に任せるのだろう」
「……」

「トゥルナイゼン少将」
「はっ」
「卿は捕獲した艦、捕虜、それに重傷者、損傷の酷い艦を率いてオーディンに戻ってくれ」

オーディンに戻る? それではレンテンベルク要塞の攻略戦は……。
「安心しろ、レンテンベルク要塞攻略に向かうのは卿が合流してからだ。此
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