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幽雅に舞え!
猛攻のエメラルド
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はっ、何やら空気を重くしたみたいだけどね。ボクにとっては幼いころからこれが当たり前なんだ。不便だと思ったことも……まあさっきの爆発はさすがに参ったけど、基本ない。だから気にすることじゃないよ」
「……わかった。じゃあそこまで気にしないようにするけど……よくそれで親が旅に出ることを許してくれたよな。家の中にいたほうが絶対安全なのに」
「……まあね」
「?」

 なぜかルビーの声が低くなる。サファイアが首を傾げて尋ねたが、それきり食事が終わるまでルビーは何も言ってくれなかった。まずそうにリゾットを食べるルビーは、なんだか普段の飄々しさとは打って変わった、弱弱しさのようなものすら湛えていて、サファイアには今はどうすることも出来ずにただハンバーグを食べることしかできなかった。
 

 
 
「さて、飯も食ったし早速ジム戦に……」
 
 だんまりになってしまったルビーとの雰囲気を壊すように、食事を終えてジムの場所まで走りだそうとしたとき――またしても、聞き覚えのある声がした。

「「「待て待て待てっー!少年、その3匹を渡すべきだっー!」」」
「へっ、待てと言われて待つ馬鹿がいるか!俺様を捕まえようなんざ……10年早いんだよ!」

 見れば、町の中に赤いショートカットに白いパオ、黒ズボンを着て自転車に乗った少年がいつかのガスマスク集団に追われていた。走っているガスマスク集団よりは、自転車の方が早く距離が離れていく。

「もしかしてあいつ……レイヴン博士からポケモンを奪ったやつじゃないか?」
「あのガスマスクがまた勘違いをしていなければ、そうだろうね」
 だんまりだったルビーが口を開く。さっきのとは無関係な話題だからだろう。
「俺、ちょっと追いかけてくる!博士からポケモンを奪ったやつは見つけたらとっちめるって博士と約束したんだ!」
「自転車を追いかける気かい?それは賢明な判断とは言えない気がするね」
「けど……!」
「まあ落ち着きなよ。どうせ走っても追いつけない。追いつけるとしたら途中で彼が止まった場合だろう。なら歩いていっても同じことだと思わないかい?歩いていくならボクもついていくよ。面白そうだしね」
「なんかそれ屁理屈じゃないか?」
「屁理屈だって理屈のうちさ。どうする?」
「……わかったよ、歩いていこう」
 
 ルビーの提案を呑んで、二人で歩き出す。しばらく歩いて町の外へ出ると、どうやら自転車の少年は止まったらしい。自転車には乗ったままだが。
 
「ぜえぜえはあはあ……や、やっと諦めたか少年。さあ、ポケモンを差し出し……」
 すでにへとへとなガスマスクに対し、赤髪――翡翠色の目をしているのも見て取れた――少年が生意気な調子で言う。
「はん!既
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