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幽雅に舞え!
謎の博士、ティヴィル
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。そういえばミシロタウンを出てから何も食べていなかった。

「なあ、そろそろ飯にしないか?」
「そうだね。いい時間だし食事にしようか」

 そう言って二人はソファに座る。マナーにうるさい人間が見れば、もっとちゃんとしたところで食事をとりなさいなどといいそうだが、サファイアは普通の少年だ。隣に座って、弁当を開ける。その中身は、サファイアの好物だらけだった。小さなタッパーに入った麻婆豆腐に、ハンバーグ。

 これでしばらく母さんのご飯は食べられないんだな――そんな気持ちとともにご飯を食べる。ルビーの方をちらりと見ると、ルビーはみたらし団子やチョコレートを取り出し、その小さな口でちまちまと食べ始めた。

「甘いものが好きなのか?」
「うん、そうだよ。……それがどうかしたのかい?」
「いや、ちょっと俺も欲しいなと思ってさ。ハンバーグ一個やるから団子一個くれないか?」

 何気ない、これから一緒に旅をするのだから仲良くしようと思っての提案だった。だがルビーは、少し申し訳なさそうに目を反らす。

「んー……せっかくだけど、遠慮するよ。ボクは甘いもの以外は苦手なんだ」
「苦手って……じゃあつまり、これからもずっと甘いものばっか食べて旅するつもりなのか?」
「そうだね。それが何か問題あるかい?」
「おおありだよ!いくらなんでも栄養が偏るっていうか、明らかに健康に悪いだろ!」

 平然と言うルビーにサファイアが大声で怒鳴る。旅に出る前は家族に随分食事については気を配るように言われたのもあって、一緒に旅する仲間がそんな風なのを見逃してはいけないと思ったからだ。

「そう言われてもボクは今までずっとこういう食生活を送ってたんだけどね……」
「だったらなおさらだろ。ほら、俺の弁当半分やる。母さんの麻婆豆腐美味いんだぞ」

 ルビーを見据え、弁当箱を差し出すサファイア。ルビーはそれを嫌そうに見たが、サファイアの瞳が絶対に譲らないと思っているのがはっきりわかったので、折れて肩をすくめた。弁当箱を受け取り、恐る恐ると言った体で食べるルビー。麻婆豆腐を一口食べた彼女は――思いっきりむせ込んだ。

「うわっ、大丈夫か!?」
「……辛い。よくこんなの食べられるね……」
「母さんの料理をこんなのって言うな。まあずっとそうだったなら仕方ないと思うけど、少しずつ慣れてこうぜ。……でないと、ほんとに体に悪いぞ」

 少しだけ言いすぎたかなとばつが悪そうに、それでもしっかりというサファイア。

「……ありがとう。心配してくれてるのはよくわかったよ」
「とにかく、これから一日一回でもいいからちゃんとした食事をとろう、な?」
「わかったよ。さすがにここまで言われたら仕方ない……ね。……じゃあ、
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