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魔弾の王と戦姫〜獅子と黒竜の輪廻曲〜
第4話『命運尽きず!絶望の淵に放たれた一矢!』
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『???』

闇を丹念に染められた部屋の一角で、人ならざる者達は集まっていた。

――ずいぶんと派手にやられたようだな。ヴォジャノーイ――。

――見ての通りさ。獅子の尾を踏んだ代償がこれ。――

――傷の深さに体の再生が追いついていないか……おぬしだけでは手に負えぬか?――

――まぁね。認めたくないけど、もし、『銃』が竜具を使っていたら、僕は消滅していたかも――

――超越体を相手にするには、我々だけでは手に余るな。コシチェイは早々に動き出すだろう。――

――ふーん?じゃあどうするの?――

――しばらくは様子見じゃ。バーバ・ヤガーにも伝えておいた方がいいしな――

――トルバランは多分、『銃』に興味なさそうかな。あいつ、遊び呆けてばかりだし――

――あやつは無視してかまわん。さぼり癖のある奴は当てにならんのでな――

――どうする?『銃』の対応は?――

――我々の世界の為に、ヤツの心の檻に押し込められている獅子を、どうにか利用したい――

――でも、コシチェイはそうしないだろうね。だってあいつは『銃』の……――

――知っておる。人間どもはあまりにも無知すぎる。本来なら魔物や竜など初めから存在しないというのに……すべては竜具と同じ『造られしもの』なのだから――

――……『銃』は僕たちを救ってくれるのかな?――

勇者を標的とした魔物たちの次なる行動は一体?








Vadnais09『命運尽きず!絶望の淵(アルサス)に放たれた一矢!』









『アルサス・セレスタの町周辺』



アルサスに住む人間にとって、テナルディエ軍の侵攻は、災厄と言うしかなかった。
渦中にあるアルサスの中心都市セレスタは、木の板をつぎはぎに並べた防壁のみ。軍勢の荒波を跳ね返すはずの堤防は、斧や槌を持つ侵略者によって瞬く間に打ち破られる。
なだれこんだ軍勢は、まず神殿を取り囲み、鬨の声を上げて、心身ともに疲れさせてあぶり出そうとしている。
神殿の中は、老人や子供達が身を寄せ合って恐怖に耐えている。神々をまつわる建造物が唯一の不可視境界線となっており、これを犯すことはすべてのブリューヌ全ての信者を敵に回す意味を持つ。
故に、テナルディエ兵達は神殿に侵入することを許されなかった。
神殿に避難した人たちは、身を寄せ合うように1ヶ所により固まっていた。
女ばかりの領民や、年端もいかない子供達、それとは逆の年寄り達は、外の鬨の声に対してただ震えるのみであった。
母は、泣きじゃくる子供を懐に抱き寄せてうずくまり――
老人は、追い詰められた孤独感に苛まれ――
子供達は、純粋な防衛本能「泣く」ばかりであった。
生まれて初めて感じる恐怖だった
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