暁 〜小説投稿サイト〜
Sword Art Rider-Awakening Clock Up
ダークリパルサー
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「たっだいま〜!」

リズベットは懐かしの我が家のドアを勢い良く押し開けた。

店の中をグルリと見回す。たった1日留守にしただけだが、何だか妙に新鮮に見えた。

ここに来る途中で買い食いしたキリトが、ホットドッグを(くわ)えながら店に入ってきた。

「もうすぐお昼なんだから、ちゃんとした店で食べようよ……って」

最後までいい終えた途端、リズベットはあることに気づいた。キリトの後に続いて入ってくると思っていたネザーが、見当たらないことに。

「ねぇ、ネザーはどうしたの?」

「あー……その、ちょっと」

リズベットの問いに、キリトは咥えていたホットドッグを手で持ち、口籠もりながら言った。

「ここに来る途中で、最前線に帰っちゃったんだよ」

「はぁ、何よそれ?」

せっかく新しい武器でも作ってあげようとしたのに、という純情な思いが無駄にされたような気分になった。

猛烈な文句を言いそうなリズベットの気分を変えようと、キリトは左手を振り、ウィンドウを出した。

「それはそうと、早速だが剣を作ってくれないか」

ぱぱっとアイテム欄を操作し、白銀のインゴットを実体化させる。ひょいっと放ってきた金属をキャッチしたリズベットは頷いた。

「そうね、やっちゃおうか。じゃあ工房に来て」

カウンター奥のドアを開けると、ゴトンゴトンという水車の音が一際大きくなった。壁のレバーを倒すと、(ふいご)が動いて風を送り始める。すぐに炉が真っ赤に焼け始める。

インゴットをそっと炉に投下して、リズベットはキリトを振り返った。

「片手剣直剣でいいのよね?」

「おう。よろしく頼む」

キリトは来客用の丸椅子に腰掛けながら頷いた。

「了解。言っとくけど、出来上がりはランダム要素に左右されるんだから、あんまり過剰に期待しないでよ」

「失敗したらまた取りに行けばいいさ。今度はロープ持参でな」

「……長いやつをね」

あの盛大な落下を思い出して、笑いを漏らす。炉に眼をやると、インゴットはもう充分焼けているようだ。ヤットコを使って取り出し、金床の上に置いた。

壁から愛用の鍛冶ハンマーを取り上げ、メニューを設定すると、リズベットはもう一度チラリとキリトの顔を見た。無言で頷いてくる彼にみで応え、ハンマーを大きく振り上げる。

気合を込めながら赤く光る金属を叩くと、カーン!という澄んだ音と共に、明るい火花が盛大に飛び散った。

リファレンスヘルプの鍛冶スキルの項には、この工程について、【炸裂する武器の種類と、使用する金属のランクに応じた回数インゴットを叩くことによって】という記述しかない。

つまり、金属をハンマーで叩く行為そのものには、プレイヤーの技術の介在する余地はない、と
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