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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
幻想の復讐
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「幽霊なんかじゃない。そのダガーは実在するオブジェクト。そして、SAOのサーバーに書き込まれたプログラムコードだ。俺は幽霊なんて信じない。絶対に何かトリックがあるはずだ。絶対に……突き止めてみせる」





その後、シュミットの要望で彼を《聖竜連合》本部へと送った。引き換えとして、俺はメモを受け取った。

シュミットのメモに記されていた店は、20層主街区の下町にある小さな酒場だった。曲がりくねる小路にひっそりと看板を掲げる店の佇(たたず〕まいからは、《毎日食べても飽きない》級の料理が出てくるとはなかなか思えない。

しかし、往々(おうおう)にしてこういう店に隠れ名物が存在するのもまた事実。もしグリムロックがあのフーデッドローブの暗殺者なら、すでに俺の顔を見ているはずなので、先に気づかれたら二度とこの店には現れないだろう。

近くの物陰に身を潜め、周囲の地形を確認した俺とキリトとアスナは、問題の酒場を見通せる位置に宿屋が一軒(いっけん)あるのに気づいた。人通りが途切れた瞬間を狙って宿屋に飛び込み、通りに面した2階の客室を借りる。

狙い通り、部屋の窓からは酒場の入り口がはっきり視認できた。部屋の明かりを落としたまま窓際に椅子を3脚運び、アスナを中心にして3人は並んで腰を下ろし、監視姿勢に入った。

しかし直後、アスナが「ねえ」と(まゆ)を寄せた。

「……張り込みはいいけど、わたし達、グリムロックさんの顔知らないよね」

「だからさっきシュミットを連れて行くべきだと言っただろ」

「でも、シュミットのあの様子じゃちょっと無理そうだったからな……」

俺がフーデッドローブの暗殺者を逃して宿屋に戻った時も、ギルド本部へ送り届ける時も、シュミットはずっと怯えたままだった。悔しいが、キリトの言う通り、あの状態のシュミットから情報を聞き出すのは無理だ。

「さっきの黒いローブの人……本当にグリセルダさんの幽霊なのかな……。目の前で二度もあんな光景を見たら……わたしにもそう思えてくるよ」

窓から夜空を眺めるアスナの言葉を聞いてみると、俺でさえそんなふうに考えてしまいそうだ。

「……幽霊かどうかはともかく……あのローブを追跡した時、俺は見た」

「何を?」

「顔だ。まぁ、見たと言っても顔つきだけだが、あれは明らかに男だ。奴がグリムロックだった可能性もある。顔つき、身長、体格で見当をつけ、それらしい奴が現れたら、デュエル申請で確認するしかない」

「えーっ」

途端、アスナは眼を丸くして声を上げた。

しかしキリトは、「それしかないな」と言い、賛同した。

SAOでは、他のプレイヤーに視線をフォーカスさせると、緑色あるいはオレンジの情報窓、《カラー・カーソル》が出現する。しか
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