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ドリトル先生の名監督
第八幕その五

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「学問はしっかりしていてもね」
「家事や世事は全く駄目」
「そしてスポーツも出来ない」
「まあ恋愛ごとにはもう少しだけわかって欲しいけれど」
「それでもね」
「それが先生だから」
 先生の個性でもあるというのです、そうした抜けている部分もあればこそ。動物の皆は親しみと共に言うのでした。
 そしてです、こうも言った皆でした。
「だからこそいいんだよ」
「僕達も余計に先生が好きなんだ」
「先生は決して完璧な人じゃないから」
「余計にね」
「欠点があるからなんだね、僕は」
 その皆の言葉を聞いてです、先生は。
 考えるお顔になってです、こうも言ったのでした。
「皆に余計に好かれてるんだね」
「そうだよ、駄目なところもあるから」
「僕達余計に先生が好きなんだよ」
「そこに愛嬌があってね」
「魅力になるんだよ」
「確かに完璧な人ってね」
 王子もにこにことして言うのでした。
「かえって魅力ないね、何でも出来たら」
「王子もそう言うんだ」
「先生にアイロンをかけてもらうとなると」
 服にです、言うまでもなく。
「怖いからね」
「焦がすからかな」
「うん、そうだよ」
 その通りという返事でした。
「どうもね」
「確かに僕はそうしたことは苦手だね」
 そのことを否定しない先生でした。
「アイロンがけも靴磨きも洗濯もね」
「洗濯機は使えてもね」
「先生うっかりしてよく洗い方間違えるから」
「食器洗うのはもっと下手だし」
「お掃除はもうアウト」
「お風呂沸かすのも不安」
「生活力はないから」
 本当にそうした方面にはスポーツ並に才能のない先生なのです。
「だからね」
「僕達も何とかしないって思うから」
「先生が出来ないだけにね」
「僕達がしっかりしないとって思うから」
「余計にいいのよ」
「そうみたいだね、かえってなんだね」 
 先生はしみじみとして言いました。
「僕は好かれるんだね」
「そう、ただ僕達はいつもいるけれど」
「先生、やっぱりね」
「いいお相手が必要よ」
 このことも言うのでした。
「絶対にね」
「つまり奥さんがね」
「そろそろいいんじゃない?」
「先生はそうしたお話には縁がなかったけれど」
「実はもてるから」
「女の人にも人気があるよ」
「僕が?ないよ」
 笑って返した先生でした。
「幸い嫌われたことはないみたいだけれどね」
「もてたことはない」
「自分はそう言うんだよね」
「そう思ってるけれど」
「実は、とは考えないからね」
「実はじゃなくてね」
 それこそと返した先生でした、やっぱりという展開です。
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