暁 〜小説投稿サイト〜
ダタッツ剣風 〜悪の勇者と奴隷の姫騎士〜
第二章 追憶のアイアンソード
第19話 勇者の資格
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ままで、外の景色を見ようともしませんでした。けれど、練兵場から聞こえてくるあなたの叫びが……私をここへ誘ったのです」
「……」
「もし。恐れることなく、バルスレイ将軍に立ち向かって行くあなたの勇気を目にすることができなかったら……私は今も、こうして外に出ることもなく、自分の弱さに屈していたに……違いありません」

 言葉を重ねるフィオナは、徐々に語気を強めて行き――やがて竜正の手を、か細く白い両手で懸命に握り締めていた。
 その儚くも気高い彼女の瞳は、竜正の眼を真っ直ぐに射抜いている。

「だから私は……私に勇気を授けて下さったあなたを、勇者様とお呼びし――お慕い申し上げるのです」
「フィオナ……」
「例えあなたが違うと仰っても。私は、あなたを勇者様と呼び続けます。力ではない強さで人々に勇気を与えるあなたこそ、真の勇者なのですから」

 そんな彼女の、愚直なまでの素直さに――竜正は苦笑いを浮かべて、自分の手を握る白い肌を見遣るのだった。

「……真の勇者、か。随分、ハードルが上がっちゃったな……」

 今の自分に出来ることなど、たかが知れている。
 それでも。目の前で、自分を慕うと宣言した少女のために――ほんの少しでも、前に進まねばならないと。

(ここで俺が頑張らなきゃ……この娘の想いも、裏切っちゃうんだよな)

 ――少年は、人知れず誓うのだった。

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