暁 〜小説投稿サイト〜
ダタッツ剣風 〜悪の勇者と奴隷の姫騎士〜
第二章 追憶のアイアンソード
第18話 勇者召喚
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くぞ参られた」
「皇女、フィオナでございます。勇者……様」
「え、えっ……と……!?」

 だが、目の前までやって来た彼らは、少年の希望に沿うことなく――その場に片膝を着いた。
 明らかに高い身分の持ち主である二人が、見ず知らずの自分の前に跪く。その状況に、少年はさらに狼狽してしまうのだった。

「この戦争に終止符を打ち、世界に統一された平和を齎すには――貴殿の力が必要なのだ。どうか帝国の、ひいてはこの世界の未来のため、力を貸して頂きたい」
「私からも……お願い申し上げます。勇者様」
(な、何が……何がどうなってるんだよ。俺、どうしたらいいんだ……!?)

 あり得ない状況に、突如叩き込まれた少年は頭を抱える。
 ――そして。そんな彼を、遠巻きに見つめる男がいた。

(異世界の勇者……か。仮に伝説通りの強さだったとするなら……私の技を、託してもいいかも知れんな)

 その男――在りし日の猛将バルスレイは、真紅のマントを翻すと……人知れず、皇室から立ち去って行くのだった。

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