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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百七十四話 未発
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葉を賜った。だがラムスドルフが望んだのは近衛兵総監の辞任だった。陛下もそれ以上は職に留める事は出来ぬと考えたのだろう。

“よくやってくれた、御苦労であった”

それが陛下が最後にラムスドルフにかけた言葉であった。翌々日早朝、ラムスドルフの家族から彼が病で死んだと報告があった。陛下はその日一日南苑から出てくる事は無かった……。

分かっている。誰もが分かっている。ラムスドルフは死ぬしかなかった。エリザベート、サビーネ、両令嬢の誘拐、ヴァレンシュタインの暗殺未遂、陛下の負傷、そして近衛兵の暴動……。

近衛兵総監たるラムスドルフの責任は重い。誰が何を言っても彼の死を止める事は出来なかっただろう。陛下もわかっていたはずだ。“よくやってくれた、御苦労であった”その言葉にどれほどの想いが込められたのか……。そしてラムスドルフはその想いをどう受取ったのか……。

暴動鎮圧後、憲兵隊は宮内省高官の身柄を拘束するべく動いた。だが肝心の宮内尚書ノイケルンは既に死体になっていた。服毒死、但し自殺か他殺かは分からないままだ。

「例のヴァレンシュタインを撃った男ですが、ようやく取り調べが一段落しました」
「……」

暗殺者は宮内省の職員だった。リヒテンラーデ侯に撃たれ丸一日病院で治療を受けた後、憲兵隊の取調べを受けた。陛下を負傷させた事で怯えていたが、ノイケルンが死んだ事を知ると積極的に自白をした。最も自白の内容は自分は脅されて犯行を行なった犠牲者で悪いのはノイケルンということになる。

「やはりノイケルン宮内尚書に頼まれたそうです。標的はヴァレンシュタインとリヒテンラーデ侯……」
「……」
私の言葉にリヒテンラーデ侯は微かに頷いた。

「ヴァレンシュタインに止めを刺すため三射目を撃とうしたのですが、陛下が庇って負傷した。その事でどうして良いか分からなくなってしまい、迷う内に侯に撃たれたそうです。そうでなければ侯も撃ち殺していただろうと……」

「私もヴァレンシュタインも陛下に助けられたというわけか」
「そういうことになりますな」
リヒテンラーデ侯の溜息混じりの言葉にシュタインホフ元帥が相槌を打った。

「ノイケルン尚書はこう言っていたそうです。ヴァレンシュタイン元帥、リヒテンラーデ侯が死ねばそれを機に宮中の実権を掌握する。だから心配は要らない、捕まっても直ぐ逃がしてやると……」

私の言葉にリヒテンラーデ侯は苦笑を漏らした。
「それは嘘じゃな。その男は殺されておったろう」
「と言うと?」

「あの医師よ、あの男の役目は負傷したであろう我等を確実に殺す事、そして同じように負傷して取り押さえられたであろう暗殺者を治療すると見せかけて殺す事であろうな」

「なるほど、そういうことですか……」
納得したようにシュ
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