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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
ビーター
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アイテム取得確率を大幅にブーストするラストアタックに固執(こしつ)し、それゆえに命を落とした彼だが、指揮能力は間違いなく卓越(たくえつ)したものがあった。そんなディアベルが、最後に下した決断は《撤退》ではなく《血戦》だった。ならば、俺はレイドの1人としてその遺志(いし)を実行するのみ。

ネザーは瞬時に体の向きを変え、広間の奥に向かって走り出す。行く手では怒号(どごう)と絶叫が間断なく弾ける。ディアベルに続く死亡者こそまだ出ていないようだが、前衛部隊の平均HPは全て半分を下回り、リーダーを失ったC隊に至っては2割を切っている。完全に恐荒して逃げ惑うだけのプレイヤーもおり、このままでは数十秒のうちに隊列が瓦解(がかい)するだろう。

まずは、皆のパニックを(しず)めねばならない。だが、この状況では、生半(なまなか)な指示など喧噪(けんそう)にかき消されてしまう。何か短く、しかも強烈な一言が必要だ。

その時、近くにいたアスナが、激しくはためくフード付きローブを邪魔そうに掴み、一気に体から引き剥がした。

左右の壁に掛かる無数の松明(たいまつ)の光を、一点に凝集(ぎょうしゅう)させたかのような輝き。(つや)やかな栗色のロングヘアーが、今だけは深い黄金の色を放ち、ボス部屋の薄闇を吹き散らす。

長い髪を(なび)かせて疾駆(しっく)するアスナは、まるで闇の底に突如現れた一筋の流星だった。恐荒の極みにあるプレイヤー達すら、その凄絶(せいぜつ)なる美しさに眼を奪われ、沈黙した。奇跡的に生まれた刹那の静寂を逃さず、アスナのすぐ隣に立っていたキリトが、喉も裂けよとばかりに叫んだ。

「全員、出口方向に十歩下がれ!ボスを囲まれなければ、範囲攻撃は来ない!」

キリトの声の残響が消えると同時に、再び時間が流れ出す。

「……斬り殺してやるよ」

野蛮な言葉を発しながらネザーは、キリトとアスナに挟まれる形で真ん中に立った。

同時に、ザッ!!と音を立て、最前線のプレイヤー達がキリトとアスナの左右を、一斉に後方へと動く。それを追うように、コボルド王も体の向きを変え、並んで走るゲド達と正対する。

「アスナ、ネザー、手順はセンチネルと同じだ!行くぞ!」

名前を呼ばれた瞬間、細剣(レイピア)使いはちらりとキリトを見たが、「正面だけ向いてろ」とネザーに言われ、すぐに視線を前方に戻して応じた。

「わかったわ!」

前方では、コボルド王が両手で握っていた野太刀(のだち)から左手を離し、左の腰だめに構えようとしている。あのモーションは、確か……

「あれはッ……!!」

俺は息を詰め、自分もソードスキルを始動させた。右手の剣を同じく左腰に据え、体を転倒寸前まで前に倒す。この角度が足りないとシステムがモーションを認識してく
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