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特権階級
第八章

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「素行悪かってんな」
「ですね、学校の先生でも」
「そうしたおかしな先生おるんやな」
「それでいなくなりました」
「俺もその先生に言われたわ」
「あの国はいい国やて」
「地上の楽園とかな、実際はな」
 しかしそれはというのだ。
「そうしたとんでもない国やな」
「世襲制の独裁国家ですか」
「アホみたいな国や」
 首を傾げさせてだ、賢章はこうも言った。
「そんな国を何も知らんでも言う奴もな」
「アホですか」
「そう思ったわ、今は」
 この言葉には実感があった、それも心から。
「その先生含めてな」
「無闇に先生の言うことでもな」
「信じたらあかんっちゅうことか」
「おかしな先生もおるしおかしな国もある」
「共産主義とかそういうのも抜きにして」
「そういうこっちゃな、ほな」
 同僚や後輩達との話を終えてだ、そして。 
 テレビからも顔を離してだ、賢章は言った。
「うどん食おか」
「うどんがのびるしな」
「はよ食わなな」
「そうしよか、けつねうどんな」
 揚げも食べながら言う、けつねうどんは美味かった。だが。
「あの国ではこんなうどん食えるかな」
「案外餓えてたりしてな」
「うどんどころか白い御飯もないかもな」
 こうした言葉も出ていた、彼等は白米やうどんを食べて午後の仕事への英気も養ったのだった。そして後になってその国の食糧事情を聞くことになった。絶望的なその状況を。


特権階級   完


                       2016・5・17
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