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特権階級
第六章

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 それでもだ、妙なものを感じてだった。彼は家で定年を迎えて今は悠々自適の生活に入っている祖父の昭彦に言った。
「大学でもおるわ」
「アカか」
「そや、そうした人多いわ」
「革命とか言うてるか」
「そうしてるわ」
「何処でもおるな」
「それでな」
 祖父に酒、日本酒を勧めて自分の杯も出しつつ言う。
「あの国についてもや」
「立派な国って言うてるか」
「階級のない地上の楽園ってな」
「それで御前はどう思うんや」
 その国についてとだ、昭彦は孫に尋ねた。
「あの国について」
「調べていったけれどな」
「色々な本読んでたな」
「何か偉い先生は立派なこと言うてるけど」
 それでもというのだ。
「階級あるやろ」
「どう考えてもやな」
「あの主席様が独裁者でな」
「平等な国やないな」
「全然ちゃうわ」
 それこそというのだ。
「あの国はな」
「そやろ」
「祖父ちゃんの言った通りやな」
「そやろ、わしはわかったんや」
 暗い目での言葉だった。
「シベリアでな」
「共産主義がやな」
「よおわかったわ」
 実際にというのだ。
「この身を以てや」
「ソ連はそうした国でか」
「あの国もや」
「絶対にや」
 それこそという返事だった。
「とんてもない国家や」
「そやな」
「もっと酷いことになるわ」
 それこそという返事だった。
「これからな」
「今以上にかいな」
「考えてみい、階級あるって何や」
 昭彦は賢章にこのことから問うた。
「一体」
「それで独裁者か」
「絶対王政、いや王権神授説みたいやろ」
「っていうか主席様が神様みたいやな」
 最早神権政治になっているとだ、賢章も言う。
「共産主義言うてもな」
「もう封建主義やろ」
「そっちか」
「封建主義やったらな」
 昭彦はその言葉をさらに強くさせて孫に言った。
「世襲もあるわ」
「あの国そこまでするんかいな」
「するやろな、あの調子やったら」
「特権階級の世襲かいな」
「特に国家元首のな」
「えらい国やな」
 とんでもないという意味でだ、賢章は今こう言った。
「あそこは」
「そういうものや、あそこはまたおかし過ぎるけどな」
「共産主義はか」
「そうした国でイデオロギーや」
「平等は嘘っぱちか」
「そやねんや」 
 こう言うのだった、そして。
 賢章は大学でその国について学び就職してだった、その国のことをテレビでも観ていた。そしてこう言った。
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