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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百六十八話 陰謀家達
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けながら話を始める。

「随分雰囲気が重かったな」
「そうなんだ、昨日雲隠れしたからね。フィッツシモンズ中佐はご機嫌斜めだ、卿が来てくれて助かった」
俺の言葉にキスリングは笑い出した。

「俺は救いの神か」
「まあ、そんなところだね。出来れば女神の方が良かったけど」
「珍しいな、卿がそんなことを言うとは」
「たまには良いだろう?」
またキスリングが笑った。

「今回は随分と憲兵隊に迷惑をかけた。大変だったろう」
「ああ、宇宙港の封鎖、幹線道路の検問、配備が終わったと思ったら緩めろとの命令だ。混乱したよ」
キスリングが肩をすくめた。気持ちはわかる、配備が終わりこれからと言う時に正反対の命令が出たのだから。

「済まない、逃がしたほうが安全にフロイライン達を確保できると思ったのでね」
「分かっている、卿の考えが正しいだろう。しかし良いのか、主だったものは皆オーディンから逃げ出したぞ」

ブラウンシュバイク公の檄の後、オーディンに残っていた貴族達は殆どが反乱に加わるべく脱出した。軍人も多くが脱出した。シュターデン、オフレッサー……。

憲兵隊は俺が暗殺された事で適宜な行動が取れなかった、言い訳はそんなところだな。ランズベルク伯達が昨夜遅く逃げ出した事は報告を受けている。

「構わない、それで、捜査の状況は?」
「良くないな、近衛の協力者についてはラムスドルフ近衛兵総監も自ら取り調べているが始まったばかりだ、何も出てこない」
「時間がかかりそうだ」

俺の言葉にキスリングは頷いた。
「近衛を調べるのが近衛だからな、難しいだろう」
「近衛を調べるのが近衛……、庇いあいが出るね」
「ああ、多分」

思わず溜息が出た。身内に甘いのは何処の組織も同じか。
「面倒だな、憲兵隊が取り調べるようにしようか?」
「エーリッヒ、それをやればラムスドルフ近衛兵総監は自殺するよ、自分で取り調べるから何とか持っているんだ。それでもやるかい?」
自殺か、原作でもモルトが自殺していた。ありえない話じゃない……。

「いや、止めておこう。それで他には」
俺には出来ない、やるべきなんだろうが出来ない。そして後で後悔するのだろう。全く度し難い甘ちゃんだ。

「ランズベルク伯だが、随分と手際が良いな、良すぎると言って良い」
「……」
「ランズベルク伯とともに姿を消した貴族を確認した。ラートブルフ男爵、ヘルダー子爵、ホージンガー男爵だ」

いずれも貴族のボンボンだ。間違っても軍事教育など受けた事は無い。妙だな、近衛とは何処で接触を持った?
「非合法活動になれた協力者が居るか」
「ああ、彼らだけで出来る仕事じゃない」

社会秩序維持局か、繋がりが見えてくる。ラインハルト、オーベルシュタイン、ラング、ランズベルク
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