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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第二十五話 窮地
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人との間の意見交換だということなの。」
「・・・・・・?」
「ミッドウェー攻略・・・・。赤城、あなたは今の状況で本当にそれが成し遂げられると思っている?」
赤城少し下を向いたが、きっと顔を上げた。
「勝算は極めて少ないです。ですが、私は何度も熟考を重ねて、もうこれしかないと思いました。」
「制海権が敵の手に落ちている中を敵中枢を急襲し、その後息つく暇もなくノース・ステイト目指して突っ走る・・・・だいぶ無謀という言葉が軍令部の会議場も飛び交っていたわね。」
だいぶ異論があったものの、赤城が頑強に主張したため、結局赤城の上申した作戦案は軍令部ではひとまず保留、検討事項としていた。だが、否決の方向で動いていると葵は感じていた。
「私もそう思います。赤城さん。今は鎮守府の立て直しと物資の早急な回復に全力を尽くすべきではないでしょうか?」
「大鳳さん、それでは遅すぎます。」
赤城は一歩前に出た。
「先の戦いは、まだ鎮守府が健全に機能しており、哨戒網も構築されていた中でのことです。今は航空機も物資も、そして各施設も被害を受けている状況で、わが軍の哨戒機能や迎撃昨日は大幅に低下しています。敵の士気は旺盛です。きっとまた横須賀鎮守府に強襲してくるに違いありません。このまま座していれば、深海棲艦艦隊に何度も波状攻撃をされ、横須賀鎮守府は壊滅してしまいます。今度こそ。」
「この点は・・・そうね、赤城の言う通りだわ。それは認める。」
葵はうなずいた。
「今のままですらおぼつかないのに、戦力をじわじわと削られていては、もう再興も再攻もままなりません。そうではありませんか?」
赤城が畳みかけるように言葉をつなげた。
「それは・・・・。」
大鳳はそう言ったきり沈黙した。
「無謀だということは私自身承知の上です。ですが、私の『無謀』は無知・無策・自暴自棄どれでもありません。私なりに何度も推敲して戦略・戦術を立てた結果です。」
「わかった。」
葵は赤城を制すると、残る一人に視線を向けた。先ほどから黙っている次世代の艦娘に。3人が話している間、彼女は黙ってそれぞれの顔に視線を向けるだけだった。
「紀伊。」
紀伊は顔を上げた。
「あなたはどう思う?」
「この作戦が正しいのかどうか、私は・・・・わかりません。」
紀伊は正直な気持ちを口にした。
「この作戦が良いのか悪いのか、そしてその結果が私たちにどうもたらすのか、それを考えると結論は見えてこないからです。可能性に関しては五分五分といったところでしょう。成功、失敗、どちらにも転ぶ可能性があります。」
でも、と紀伊はゆっくりと赤城を見た。
「私は赤城さんを信じています。横須賀への途上は失礼なことを言ってしまいましたけれど、今の赤城さんは私の知っている赤城さんです。私が憧れ、尊敬する赤城さんです。
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