暁 〜小説投稿サイト〜
STARDUST唐eLAMEHAZE
第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#23
DARK BLUE MOONXX〜Endless Expiration〜
[1/12]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
【1】



『GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA
GUOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO
――――――――――――――ッッッッッッッ!!!!!!!』



 大気を震撼させる、蒼き魔狼の鳴轟が響き続ける。
 その咆吼は兇悪な憎悪の怒号であると同時に、
コレ以上ない哀咽に充ちた悲愴の嘆きを称えていた。
 その周囲で捲き起こる破壊の暴風雨。
 叫びと巨大な全身から発せられる圧威で生まれた乱気流に、
夥しい残骸が噴き挙がり混沌の渦を形成した。
「やれやれ、あんなモン一体どーやってブッ倒すんだ?」
 破滅の戦風に長い学ランの裾を靡かせながら
銜え煙草でそう漏らす無頼の貴公子に、
「出来る出来ないじゃない。ヤるのよ! 私とおまえで!!」
その隣に位置した紅髪の美少女が、
眼前の災殃に怯むコトなく凛々しい声で返す。
(うむ…… “天破壌砕” のような神儀ではなく、
“霞幻ノ法” を転用した禁儀であろうが、
しかし不完全とは云え王の顕現を可能とするとは……
だが死ぬ気、か? 蹂躙……)
 己の予想もつかない自在法を思慮とは縁遠い者が生み出していた事実と、
その先に待ち受ける結果を洞察したアラストールは、
使命と私情の狭間で心を揺らす。
 その古き畏友の心情を無言の裡から感じ取ったラミーが、
静かに歩み寄った。
「ふむ。やはり戦う気か。流石に “引く” と決断をしても、
誰も責められぬと想うが」
 言いながら手に持ったステッキで、遠方にて吼え狂う群青の魔狼を差す。
「老婆心ながら一つ言わせてもらおう。
“狙う” なら、アノ部分だ」
 老紳士が細い杖で示した先。
 ソレは巨大な前脚の脇部分、獣の心臓がある位置を正鵠に射抜いていた。
「場所が場所だけに希望と言うには程遠いが、
しかしソコに王の動力源足る『原核(コア)』が内包されている可能性が高い。
今は内部に取り込まれ休眠の状態に陥っている “弔詞の詠み手” がな」
「なるほど。 “急 所(バイタル・ポイント)” か。
幾らデカくても犬ッコロは犬ッコロ。
そこらへんの機能は同じにしとかねぇと動くに動けねぇってワケだな」
「う、うむ。確かにその通りだが……」 
 自分の指摘した事実を一瞬で理解する分析能力、
何より顕現した紅世の王を “犬” 呼ばわりする承太郎の心胆に
ラミーは半ば呆れながら返した。
「ごめん……」
 その脇で、唐突にシャナが口を開く。
「あ?」 
 こちらは意味が解らない物言いに、承太郎は剣呑な視線で応じた。
「“アズュール” 前に話した事があるでしょ?
“狩人” が持ってた火除けの宝具。
もしアレがここにあれば戦局も幾分かは楽になったんだろうけど、
私が粉々にしちゃ
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ