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【WEB版】マッサージ師、魔界へ - 滅びゆく魔族へほんわかモミモミ -
第六章 滅亡、そして……
第67話 あっさり……
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 ――だから相手は他の人のほうがいいって言ったのに。

 そう思いながら、剣先が落ちてくるのを待った。

「待て」

 その声は、部屋の入口のほうから聞こえてきた。
 視線を向けるぼくと勇者。

「お前は……!」

 おそらく開いたままだったであろう扉の前にいたのは、ルーカスだった。
 勇者は彼のほうに向き直り、剣を構えた。

 剣を向けられた彼は、特に動じることもなく、状況把握のために視線を一巡させた。

「マコトよ、やはりここだったか。勇者もいるということは……戦っていたところだったのか?」
「そうだ」
「ふふ。マコトと戦うのはお前としては本意なのか? とてもそうは思えんが」
「もうマコトを助ける手段はない。他の人間に殺されるくらいなら私が殺る」

「ふむ、なるほどな。では、マコトをここで殺す必要がなくなった、となればどうする?」
「何!? どういうことだ」
「言葉通りの意味だが……まあその前に、だ」

 ルーカスは意味不明なことを言うと、ゆっくりとこちらに近づいてきた。
 勇者はやや気圧されたような感じで下がり、ぼくからは離れていく。

 倒されたままだったぼくは、立ち上がった。

「マコトよ」
「うん」
「私は全員に対し魔王城へ集合の指示を出したはずだが」

「……その指示はさっき兵士から聞いたよ」
「従わなかった理由は?」
「いや、もうこの治療院は終わりだし……ぼくもどうせ死ぬし。最後はここで終わりたいなって」

 ルーカスは「そうか」と小さく言うと、ぼくの右手を両手で少し持ち上げ、籠手を外した。
 理由がわからずそのまま見ていると、彼は外した籠手を自身の右手にはめた。

 直後。
 頭に強い衝撃があった。

 一瞬、何が起きたのかわからなかった。
 しかし、もう一度後頭部のほうに衝撃があり、床に倒されたということを理解した。
 殴られたのだ。

「う……」
「貴様! 何をする!」

 勇者の声が広い室内に響く。

 ――いや、きみもさっき全く同じことをしたからね?

 そう突っ込む気にはならなかった。
 彼に殴られたのは初めてで、その衝撃のほうが大きかったためだ。

「ふふ。命令に違反した奴隷に主人として罰を与えたまでだ」

 彼はぼくの手を取ってもう一度立たせた。

「ここまで来たら死ぬときは一緒――そう言ったはずだぞ。忘れたか?」

 彼はそう言いながら籠手をぼくの右腕に戻し、少し笑うと、兜の上を軽く手のひらでポンと叩いた。

「お前は治療のこと以外ではまるで粘りがないようだな。淡白すぎる。あっさりしすぎている」
「そうだ! キミはあっさりしすぎだ!」

 ――なんできみまで加わるの。

 と
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