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【WEB版】マッサージ師、魔界へ - 滅びゆく魔族へほんわかモミモミ -
第四章 魔族の秘密
第53話 二千年の計
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と有効に利用できるのだろうか。

 ハード的に劣っていようが、創意工夫をすることでカバーはできる。
 むしろ劣っていたからこそ、その劣等感をエネルギーに変え、必死に努力し、発展することができた。

 人間が仕掛けた『二千年の計』。
 その最終段階である戦争により、いま魔族は滅亡の危機を迎えているが……それも自然の摂理なのかもしれない。

 魔族は人間の進化形。
 しかし、その進化は決してよい結果を導かなかったのだ。

「ありがと。よくわかったよ。でもこっちから聞いといてアレなんだけどさ。
 そういう事情があって秘密にしていたんだったら、今ぼくに全部話したのって結構まずいんじゃないの?」
「……そうだな……まずいな」

 ルーカスはそうつぶやきながらこちらに一歩足を踏み出した。

「決して他者に伝えることがあってはならん――そう父から言われている」

 声のトーンが急に下がった。そしてそのままゆっくりとぼくのほうに近づいてくる。

「え」

 ここは塔の屋上。
 いま他には誰もいない。

 ぼくは一歩下がってしまった。
 心臓が急に速く動き出してくるのを感じた。
 その鼓動は全身に響くようだった。

 呼吸が苦しくなる。
 体はさらに後ろに下がりたがっていた。
 足を後ろに動かしたが、平衡感覚が失われており、よろめいた。

 あらためて彼を見る。
 迫ってくる彼の表情は、これまでに見たことがないような凍てついたものだった。

「ぼくを……消すの?」

 ぼくがかすれ声を出すと、彼は急にいつもの微笑を浮かべた表情に戻った。

「いや、思わせぶりな態度を取ってみただけだ」

 ……。

「あのねぇ……」
「ふふふ、すまんな。お前は仕事以外に関してはやけに淡白であっさりしているのでな。たまにはいつもと違う顔が見たかった」

「怒っていい?」
「ふふ、怒る顔も見てみたい気がするが。一応主人としてダメだと言っておこう」
「消されるのかと本気で思ったし」

「これまで同胞に力を与えてくれて、そして人間に捕まっても命がけで帰ってきてくれた奴隷に手を出すことなどありえん。
 だいたい、お前に話せない内容であれば最初から話してなどいないぞ?」

 そう言ってルーカスは笑うのだが。
 寿命が縮まるのでドッキリは心底やめてほしいと思った。

「まあ……今となってはご先祖様の言葉を守る意味も薄れているかもしれないな。すでにそのような段階ではなくなった」
「ぼくはすごくヤバい国に来ちゃったんだね。参ったな」
「そういう割には顔があまり嫌そうじゃないな」
「実際嫌じゃないからね」

 ぼくが望んでいたものは、この国にあった。
 それを手にすることができて、毎日が
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