暁 〜小説投稿サイト〜
【WEB版】マッサージ師、魔界へ - 滅びゆく魔族へほんわかモミモミ -
第一章 開業
第10話 開業計画と物件下見
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と聞いたら、非常勤のメイドをしばしば雇うからとのこと。
 庭もカムナビ国風にしたおかげで、植栽の手入れ、草取り、落ち葉の片づけなど、とにかく手がかかるそうだ。



 ***



 今日はもうすべての用事が済んだ。
 あとは寝るだけだ。

 ぼくは真ん中にちゃぶ台が置いてある四畳半の部屋を与えられた。
 この待遇、どのあたりが奴隷なのか疑問だが、こちらとしてはありがたい。

 さて、と。
 奴隷手帳を開く。
 ランプの灯りは少し暗いが、読み書きに問題はない。

 ここまでルーカス、メイド長、魔王と、三人の魔族を施術したことになる。
 気づいたことを忘れないようにまとめておこう。

 一つは、足の小指だ。
 ルーカスを施術したときに少し気になっていたので、他の二人の時もチェックはしていたが、やはり関節が一個足りなかった。
 だが日本でも足りない人はいる。三人だけではまだ何とも言えないので、今後もチェックしていくこととする。

 二つ目は、施術中にうるさすぎることである。
 放送事故級にうるさい。
 これまた三人だけでは統計上意味はないかもしれないが、「マッサージ中うるさい」とメモしておく。

 書かないといけないのはこれくらいかな……。

 ――あ、そうだ。
 魔族の寿命について、結局確認していなかった。
 これは忘れていなければ明日に聞いてみることとする。

 明日から早速開業準備だ。睡眠はしっかりとっておかなければ。
 ぼくはちゃぶ台の横に布団を敷いて横になった。



 ***



 ……んん。
 白っぽく、ぼんやりしている。
 これは夢だろうか。

 魔王城百階、謁見の間。
 ぼくは謁見しているようだ。

 魔王が玉座に座っている。
 そして左右の手を挙げ、右手は氷柱、左手には火球を出す。
 冷笑がぼくのほうにむけられている。

 ぼくはヨロイを着ていないようだ。
 ああ、これはまずい……。

 ヒョイっと魔王の左右の手が同時に動かされる。
 氷柱と火球が一直線に飛んできた。
 逃げないといけないのに、体が反応しない。なぜ。
 だめだ、死ぬ――

「うああっ!」

 ……あ、やっぱり夢だった。

「ふう、魔王怖い怖いっと」
「誰が怖いって?」
「うあああああっ」

 なぜかちゃぶ台のところに魔王が座っていた。

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 反射的に部屋の隅に飛んで避難してしまう。

「なああんんでいるのおおっ」
「いて悪いのかよ。ここはわたしの国だぞ?」

 隅に避難しても四畳半なので距離が取れていない。六畳間がよかった。

「マコトおはよー」

 カルラもいる。どうなっている
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