暁 〜小説投稿サイト〜
【WEB版】マッサージ師、魔界へ - 滅びゆく魔族へほんわかモミモミ -
第一章 開業
第8話 リラクゼーションではなく、治療
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これは」
「え?」
「おいマスコット」
「マコトです」
「マコトか。まあどちらでもいい。手を見せろ」

 ルーカスのときも同じことを言われたような気がする。
 ぼくは両手を差し出した。
 魔王は彼のときと同じように、ジロジロと手を見て、指で突いたりしている。

「リンドビオル卿」
「はい」
「手には特に仕掛けがないようだな」

「はい。私も調べましたが、何もありませんでした。不思議なものでございます」
「切って調べてみるか」
「いや、本当に何もないので勘弁してください……」

 魔王は大きく伸びをしながら深呼吸をした。

「ん? 呼吸が楽になってるぞ。気のせいじゃないな?」
「はい、気のせいじゃないと思います。座っている姿勢があまり良くないのか、背中のハリも強く、胸も詰まっているような感じがあったので。
 今は解放されて肺が膨らみやすくなってると思います」

 魔王は「ふん……小難しい説明は要らん」と言い捨て、今度は首や腰を回し始めた。

「ほう。首から腰にかけて重だるかったんだが、それがなくなって軽くなってる。羽が生えたみたいだ」
「その症状も、たぶん座っている姿勢のせいだと思います。今後は足を組まず、頬杖もあまりつかないようにしてください」
「お前は魔王であるわたしの態度にケチをつけるのか」

 睨み付けられた。怖い。
 だがやはり、原因がハッキリしている以上、言うべきことは言っておいたほうがよいだろう。

 施術は単なるリラクゼーションのためにやっているわけではない。「気持ちが良い」だけで終わっては治療にならないのだ。

「ぼくはケチをつけているわけじゃありません。生活指導もマッサージ治療のうちです」
「だまれ」
「あ、はい」

 どうやらダメなようだ。

「また体が重たくなったらお前を呼べばいいんだろ。奴隷のくせいちいちうるさい」

 え、また呼ばれるの――。
 再び救いを求めるようにルーカスのほうを見たが、見事に視線を逸らされた。
 魔王相手だとイマイチ彼は頼りにならないようである。

 施術も大切だが、生活指導も同じくらい大切だ。
 一時的に体が楽になっても、その原因が取り除かれないとすぐに元に戻ってしまう。
 できればきちんと聞いて欲しいと思ったのだが……難しそうだ。

「けどやっぱり不思議だ……。手に仕掛けがあるわけでもないし、人間だから魔法を使ったわけでもないんだろ。どうなってるんだよ」
「ふふふ。魔王様、明日になるともっと体が楽になっていますよ」
「ほう……そうなのかリンドビオル卿。それは楽しみだな」

 ルーカスが余計なことを言う。
 この魔王は少し面倒くさそうなので、無駄にハードルを上げないでほしいと思う。

「じゃあ今
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