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【WEB版】マッサージ師、魔界へ - 滅びゆく魔族へほんわかモミモミ -
第一章 開業
第5話 王都へ、出発
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近いので植物も少ないし、家も日干しレンガ造りが多いため、色彩的に乏しいという理由はあるだろう。
 だが、やはりそれだけではないと思う。

 人々から活力を感じないのだ。

 すれ違う人々を観察した限りでは、髪の色や肌の色はそこそこバラけていた。
 共通しているのは赤黒い目である。が、元気がないことでも同様に共通していた。

 もしも……彼らに背広を着せたら。
 新宿でいつも見ていた、残業でくたびれ果てたサラリーマンと同じに見えるかもしれない。



 駅馬車の乗り場は村の入り口近くにあった。
 フルアーマーのぼくはだいぶ目立っていたが、バレることなく到着。
 乗り場に付いたらすぐに係の人が飛んできた。

「おはようございます、リンドビオル卿」
「おはよう。準備はできているか?」

「はい、できております。確かまだバカンス中だったと記憶しておりますが、もう戻られるのですね」
「ああ、少し予定変更だ。これから十二人、王都に帰ることになった」
「それはそれは、お疲れさまでございます」

 十八連敗中の軍の参謀が……バカンスだと……?
 何か深い事情があるのだと信じたいが、ない気配もして怖い。



 馬車は屋根付き八人乗りのものを二台用意したようだ。
 ぼくは、ルーカス、メイド長、そして三人の部下の人と一緒の馬車に乗った。

 内部は、左右に長椅子が向かい合わせるように設置してある。

 フルアーマー姿のぼくは幅を取ってしまう。
 こちら側の長椅子には、ぼくの隣にルーカスの部下一人だけ。他の四人は向かい側に座るかたちになった。



 ***



 レンドルフ村から王都までの道は、整備が行き届いているらしい。
 馬車の揺れはさほどでもなく、落ち着いて窓から風景を見ることができた。

 だが、砂漠が近いので植生が乏しく、その景色は黄土色の荒涼たるものだ。
 見ていてもすぐに飽き、視線が車内に戻ることになる。

 向かい側のルーカスの部下二人は、警戒心マックスな顔でこちらを見ている。
 そしてぼくのとなりに座っている部下の人は、こちらからかなり距離を取って座っていた。

 そう言えば……。
 この別荘に来てから何度も顔を合わせているのに、部下の人たちからは一度も声をかけられていない。こちらから挨拶をしても、頭をちょっと動かされるくらいだった。
 そして今のこの状況である。
 完全に忌避されていると見て間違いないだろう。

 この場では、ルーカスだけが面白そうにこちらを見ている。
 そしてメイド長は面白そうなルーカスを面白そうに見つめている。
 やはりこの二人が特殊なのだ。

「ルーカス、聞いてもいい?」
「よいぞ。何でも聞くがよい」
「人間が
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