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【WEB版】マッサージ師、魔界へ - 滅びゆく魔族へほんわかモミモミ -
第一章 開業
第2話 まずはモミモミ
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 それで筋肉質なのか。
 参謀イコール肉体派ではない、というのもぼくの世界の話だ。こちらでは違うのかもしれない。

「じゃあ、うつ伏せに寝てみて」
「こうかな」
「うん。そんな感じ」

「あ。うつ伏せだと何をやるのか見えないな。『一見に如かず』にならない気がするぞ」
「フフ、大丈夫ですよルーカス様。前に『心の目で見よ』とおっしゃられていたではありませんか」
「おお、シルビア。確かに私ほどの者なら直接見る必要はない。さすがだぞ」
「ウフフフ」

 漫才は放置して始めることにした。

「じゃあ始めるね」

 さてと。まず肩から足先まで軽擦。

「うっ」
「えっ? どうしたの」
「いや、大丈夫だ……お前の手はやはり少し不思議だな」
「そう?」

 ルーカスは少し反り腰気味で、腰の下部に負担がかかりやすい形をしている。
 しかも、彼は座っている時間が長いと言っていた。
 実は腰に関して言えは、立っているよりも座っているほうが負荷が強い。

 まずは、腰の緊張を取るところからやっていくことにした。
 手根で大きく揉んで、と。

「アアッ」

 え、なに。

「強すぎたかな? 大丈夫?」
「ハアハア……いや、大丈夫だ。続けてくれ」
「うん」

 やはり腰の筋肉のハリは強い。
 特に背骨のキワの部分はよくゆるめたほうがよさそうに見える。
 母指でぐいっと。

「アアアッ」

 ……?

 今度はお尻もだ。
 腰だけ揉んでいても、ゆるむのに時間がかかる。
 治療効果を考えた場合、やはり他の部位もしっかり攻めたほうが効率がいい。

「ハアアッ」

 次は膝裏の中央部、委中というツボが腰にはよく効くので指圧、と。

「アアアア――!」

 次はふくらはぎ。
 ここはいきなり母指だと痛いので、両手で包んで圧迫する。

「アアアアッ――!」

 なんかしらないけどうるさいなこのひと……。

「ルーカス様、お声が少々うるそうございますわ」
「おおシルビア、すまないな。少し抑えるようにするぞ」

 今度は足だ。靴下をそっと脱がせる。
 臭い。

「ルーカス様、おみ足が少々くそうございますわ」
「おおシルビア、すまぬ。丸一日靴を脱げなかったからだな。後でしっかり洗おう」

 リラックス効果もあるし、足裏も欠かせない。
 ぐいっと。

「ハアアアアア――!」

 うるせえええええ!
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