暁 〜小説投稿サイト〜
つま先立ちの恋に慣れたら
夢A
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
【怜治(大学生)×奈々(大学生)です】

 蝉が鳴き始め、じわじわと汗をかく季節になるころ。奈々は午前中の講義を受けるために大講義室へ入り席に着くと、大きくため息をついて机へ突っ伏した。

 「おつかれ!・・・どうしたの?奈々〜元気ないじゃん」
 「お、おつかれえりちゃん!はは、なんでもない!気にしないで〜」

 奈々はなんとか笑顔を取りつくろってその場をごまかす。友人はなんとも不思議そうな顔をして、それ以上は何も言わず、隣の席について、その日は同じ講義を受けて、何事もなく帰宅した。
適当に通学かばんを置いて部屋着に着替えた後、そしてまた机に突っ伏す。そう、奈々はある悩みを抱えていた。

 (また今日も見てしまった・・・・おかげで寝不足だよ〜〜)

 ここ最近、毎日怜治とキスをする夢を見るのだ。いつも真夜中に目が覚め、その後は緊張して目が冴えてしまい、結局眠れない。こんなこと友人にも話せないし、ましてや怜治に話したら絶対にからかわれる。夢ばっかりは自分でもどうにもできない。しかも内容が毎回違い、刺激どころの話ではない。

 (会いたいけど、まともに顔みれないかも・・・!)

 こうして奈々は、一人悶々と悩むのであった。


 「いらっしゃい、奈々」
 「お、おじゃまします」
 「・・・?」

 怜治の休みの日に合わせ、2人は彼の家で過ごすことにした夕方のこと。奈々は玄関で会ったものの、やはり彼の目を見ることができずにいた。怜治は奈々の様子がおかしいことにすぐに気づく。

 「あっ、これ差し入れです。すごくおいしかったから、一緒に食べたいと思って買ってきました!」
 「ほんとう?ありがとう、冷蔵庫に入れておくから、あとで持ってくるよ」
 「はい!」

 怜治は奈々から差し入れを受け取り、冷蔵庫に入れる間、自分に思い当たる節がなく、疑問に思った。その後も一緒にご飯を食べ、適当に会話をしながらテレビを見たりしてくつろいでいるときも、やはり奈々はどこかぎこちなかった。ますますあやしくなり、お酒を飲んでいる途中、怜治は隣にいる彼女に問いただすことにした。

 「最近、なにかあった?」
 「へ!?べ、べつに、なにもないです。ふつうの日常です!」
 「ふうん・・・」
 「どうして?」
 「目、合わせてくれないから」
 「!」

 あからさまにおどろき、奈々は下を向いた。お酒も入っていることもあってか、動揺が隠しきれてない。自分には話せないようなことがあるのかと怜治はもやもやし、少し苛立ちを覚える。

 「俺には、話せない?」
 「・・・・・・・・」

 奈々はカクテルの入ったグラスを傾けた後、ゆっくりと怜治と顔を合わせた。彼女の頬はほんのりと赤く染まり、瞳は潤んで揺れている。すこし見つめ
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ