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信じる力
第六章
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「それでは」
「この戦いも勝つ」
 ティリーは強い声で言った、そしてだった。
 スウェーデン軍とほぼ同時に軍を動かした、こうして戦いがはじまり。
 まずは砲撃戦からだった、両軍砲撃を行うが。
 スウェーデン軍は一度ではなくだ、何度もだった。
 砲撃を行った、王の指示の下。
「いいか、敵のテルシオにだ」
「何度もですね」
「砲撃を行う」
「そうしますか」
「そうだ、そしてだ」
 王はさらに言った。
「歩兵達は射程に入ればだ」
「銃ですね」
「それで撃ちますか」
「余が言った通りにだ」
 砲撃、今行われているそれと同じくというのだ。
「射程に入ればだ」
「何度もですね」
「撃つ」
「そうしますか」
「そうだ、敵とはぶつかるな」
 即ちテルシオにはというのだ。
「撃つのだ、いいな」
「わかりました」
「それでは」
 将兵達は王の言う言葉に頷いた、そして。 
 実際に王の言う通りだった、射程に入ると。
 銃撃を行った、それは一度でなくだ。
 何度も撃った、銃兵達は交代にだった。
 立って撃ちしゃがんで撃つ、そうして何度も撃ち砲撃と同じくテルシオを撃ち寄せ付けない。最早テルシオは意味がなかった。
 これを見たパッペンハイムは騎兵隊を率いて攻撃にかかった、そして彼が得意とするカラコールで攻めるが。
 撃った列が後ろに下がり別の列が出るその時にだった。
 スウェーデン軍の騎兵隊は抜刀して突撃し切り込んだ、それでパッペンハイムが率いる騎兵隊も退けた。
 戦いは最早一方的だった、皇帝軍は総崩れとなりティリーは幕僚達に助けられる様にして戦場を離脱した。皇帝軍は多くの戦死者と捕虜それに武具を残した潰走した。
 スウェーデン軍は勝った、彼等は勝ち名乗りを挙げて口々に言った。
「これも陛下のお陰だ」
「陛下の言われる通りにしたから勝てた」
「まさに陛下あってのことだ」
「陛下の言われることは正しい」
「間違っていることはない」 
 こう言うのだった、感じたのは彼等の王への敬愛だった。
 このことを聞いてだ、リシュリューはパリで言った。
「スウェーデンは私が思っていた以上に強い」
「まさか勝つとは」
「あのティリー将軍に」
「負けると思っていましたが」
「それが」
「勝ったな、新しい戦い方も注目すべきだが」 
 こう言うのだった。
「しかしそれ以上にだ」
「スウェーデンのまとまりですね」
「王への絶対の忠誠と信頼」
「そして王の資質」
「その二つが大きいですね」
「優れた王がいてだ」
 そしてというのだ。
「民、将兵がその王の下一つになっていればな」
「強い」
「何よりもですね」
「そうだ、信じる心は大きい」
 リシュリューは確かな声で言った。
「国家にとっても
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