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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百五十八話 包囲
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「彼らにとって予想外だったのは、私がローエングラム伯を副司令長官に推したことだろう。反乱軍を誘引するためだが、そのことが伯の野心を生き返らせてしまった。今思うと間の抜けた話だが、私は心の何処かで伯を信じたかったのだと思う。野心を捨てたのではないかと……」
「……」

「シュタインホフ元帥が私を受け入れるようになったのはそれからだ。反乱軍を撃滅するためとはいえローエングラム伯を副司令長官に置く以上、いずれ伯が動き出すと元帥は見た。伯を押さえるには私に協力し、私の地位を磐石にすべきだと考えたのさ」

「……オーベルシュタインは誤ったな、彼らを軽視した。卿を排除する事に気を取られすぎたか」
俺の言葉をエーリッヒは首を振って否定した。

「そうじゃないと思う。オーベルシュタイン准将は彼らを直接には知らない。どうしても判断材料はローエングラム伯に頼らざるを得ない。伯から見ればエーレンベルク元帥もシュタインホフ元帥も凡庸に見えただろう」
「……なるほど」

「あの老人達を軽視するべきではなかった。軍人として、宮廷人として帝国の頂点にいるんだ。凌いだ修羅場の数はどれだけ有るのか……。才気ではローエングラム伯に劣るかもしれないが、経験と強かさでは遥かに上だ。彼らに比べれば私などまだまだ小僧さ」

「卿が小僧なら俺などは赤子のようなものだな。何時になったら大人になれるのやら自信が無くなってきたよ」
「同感だね」

力の無い笑い声が応接室に響いた。全く、この帝国には化け物のような老人が多すぎる。ローエングラム伯は、オーベルシュタインは気付いているだろうか、自分達が老人達に包囲されつつある事に。エーリッヒという餌に飛びついた瞬間に彼らは動き始めるだろう。ローエングラム伯を包囲殲滅するために……。


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