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『零と先輩』
『逃避』

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零は二度としないと決意した出産をまた経験した。
やっぱり出産は死にたくなる程にイタイ。

今回は妊娠中から不安しかなかった。
出来るなら内緒で堕胎して逃げたかった。
でも、そんなこと出来る環境でもなかった。
状況的にも無理だった。
支配されて監禁されてるような生活。
気が狂いそうだった。

環境や状況もだけど、1番は旦那の性格的な要因で不安が大きかった。
そんなこんなの愚痴や悩み、答えのない話を先輩は聞いてくれていた。
面倒見てやると言ってくれたりもした。
逃げてしまいたかった。

でもまた同じ失敗を繰り返すだけ。
それでも逃げたかった。
とにかく此処から誰か連れ出してと願った。

でも...もし本当に誰かが来てくれたとして、逃げたとする。
何が怖いって...。
怒り狂った此の人がとる行動はヒトツ。
そぉゆう人。

だから、大事な人にこそ迷惑はかけれない。
大事な人にこそ頼ってはいけない。
大事な人の元にこそ逃げてはならない。
それが唯一できることだった。

法的機関に対しての望みは薄い。
命の危険があるわけではない。
それに関しては施設入所の前の方が危険だった。
何度も死にかけた。
今は緊急性が無い...。

だから逃げたくても逃げれなかった。
現実的に難しい。
逃げた後のことを考えれば無理だ。

どうにか耐え抜く覚悟を決めた。
どうにか大切な人に迷惑を掛け無い為に...。



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