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『零と先輩』
『1年8ヶ月』

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いろんな事があったけど、何とか学業も仕事も順調。
最後に行った職場体験実習の会社で、出所に向けての資金を稼ぐ為、契約社員になった。
職員と会社の偉い人だけでの話し合いで決まった。

今迄の体験実習で、一応仕事の流れも掴んでたし、出来ることも増えてきたとこだった。
入ってすぐ給料貰うのは気が引けるけど、今なら給料に見合うだけの仕事が出来る自信があった。

契約社員になって給料が発生して3ヶ月くらいだったかな。
職員が前の施設から通帳を引き継いでたらしく、給料も管理していたらしい。
家を探しに行くと言われ、不動産屋に行くことになった。
自立に向けていよいよ本格的に動き出したって実感がした。

季節は秋。
もうすぐ零の18歳の誕生日。
零の処遇は心配事が多かったらしい。
寮長さんが零を引き取ると言って園長に拒否されたとか。
どれだけ心配されてるんだろうか。
そんなに不安にさしてたのだろうか。
一体何がそんなに不安だったのだろう...。

大体の子が実家に帰る。
だからだろうか。
県外から来た零を、知らない土地に出すことが不安だったのだろうか。
もしそうなら、親心みたいなものが零に対して少しでも在ったのだろうか。

だったら、なんかちょっと嬉しいと想った。

シッカリしなければ。
心配してくれている職員を裏切りたくない。
気持ちばかりが焦る。
実際は不安で怖がりな零...。
無駄に気が強くて強情なだけで、案外脆い。
もしかしたら寮長さんは、零のそんな内面を見抜いていたのかもしれない。

普通だと出所してからの1人暮らしなんだけど、零は異例。
先に1人暮らしの家を借りた。
中古の家電や家具を買ったり譲ってもらったり。
荷物も運んで外での生活が始まった。

籍は施設にあるまま。
児童達には疑問が生まれる。
出所してないのに居ないから。

携帯を契約した。
出勤時と帰宅時は施設へ連絡するのが決まりだった。

正確に出所したのは誕生日を過ぎていた。
式をしたのは12月。
自転車で施設の門をくぐった。
新鮮な気持ちだった。
入所した際に抱いてた気持ちとは違って、此処に来て良かったと心底感謝できていた。
それだけ成長できたと実感した。

悔いてどうにもならぬなら流されてみるのも必要。
その流れの中で大切な何かを見つけ出せれたなら後は努力のみ。

此処で新たな目標を貰った。
『成長し続ける』

強く逞しく自分らしく生き抜く為に零は成長し続ける。



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