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雲は遠くて
114章 信也、『詩とは、芸術とは何か?』の講演する  
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なる、とマルクスはそこまでいってます。

 ではそのとき人間はどうなるかというと、人間は逆に自然になっちゃうんだといってます。
マルクスは「有機的な自然」という言葉を使ってますけれども、有機的な自然になってしまう。
どういう意味かといえば、自然に働きかける人間は、そのとき「人間」ではなく、
機械ないし筋肉の行使者といったような「有機的自然」になってしまうということです。

 価値化された自然というのは人工的な自然である、というふうにいうならば、
それは経済的価値になったり文学的価値になったりする。
反対に、人間は自然が収縮(しゅうしゅく)したものになる。
つまり、人間の身体は自然そのものと同じかたちになってします。
自然のように(せば)まってしまうといったらいいんでしょうか、
あるいは自然のように(ひろ)がってしまうといったらいいのか、
ともかく人間が自然に働きかけると、人間の身体は自然と化してしまう。
これがマルクスの自然哲学の考え方です。

 人間および自然に対する考察として、ここまでいった人はいないんじゃないかと思います。

(川口信也からの説明)
有機体とは、生命現象をもっている個体のことです。ですから、有機的とは生命的ということでしょうか。

    ーーー  以上は、吉本隆明 著、「日本語のゆくえ」、光文社知恵の森文庫からの引用です ---

≪つづく≫ ---  114章 おわり ---

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