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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第四十九話 第三次ティアマト会戦の始まりです。(その2)
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直ちに艦隊を撤収させ、素早く後退させた。まともにその位置にいれば敵の矢に貫かれる。それでも敵の砲撃はイルーナ艦隊に少なからぬ打撃を与えた。
「正面の敵艦隊についてはティアナ、あなたが引き続き攻勢をかけてけん制して。フィオーナ、あなたは新手の進路を我が艦隊からそらすように火線を曳いて。」
冷静にテキパキと指令を下したイルーナはメルカッツ提督に通信を送り、戦況を伝えた。通信妨害がひどかったが、何度も何度も送信してようやく通じたのだ。同時にラインハルトからも通信が入ってきたので、三者はスタンディングオペレーションを開いた。
「司令官閣下、ここが潮時ではないかと愚考いたします。」
イルーナの言葉にメルカッツはうなずく。彼にしてみれば十分な打撃を与えた。損害が出ないうちにさっと後退することこそが主目的なのだから。
「ラインハルト、あなたはどう?」
『ヴァンクラフト中将の意見に賛同します。勝ったとはいえわが軍の被害も無視できない。速やかに撤退すべきだと愚考いたします。』
第十一艦隊には7000隻ほどの損害を与えた。第三艦隊も同様の被害を与え、第十三艦隊には5000隻ほどの損害を与えた。正面の第七艦隊の損害は少数であるが、全体として2万隻を超える損害を与えたと推定できる。もっとも完全破壊した艦は波動砲斉射によるものを除けば、存外少なかったのだが。
他方、ラインハルト艦隊は2000隻の被害をだし、イルーナ艦隊も敵艦隊に反撃され同程度の被害を出している。メルカッツ提督は損害は少ないが、全体として5000隻を超える艦艇を喪失している。
 約2個艦隊相当の損害を相手にあたえ、第十一艦隊の敵将を討ち取った。戦果としては充分すぎるだろう。
 メルカッツ提督はそう判断し、ラインハルト・イルーナの提案を採択し、軍を引かせる決断を行った。


「やっと引きましたか、中々手ごわい相手でしたね。」
アッテンボロー大佐がフィッシャー准将に話しかける。第十一艦隊の残存艦隊を率いてイルーナ艦隊に一矢報いたのはこの二人だった。
「こうして生きているのが不思議なほどの戦いだった。かといって激戦というものではないな。むしろ我々が敵に翻弄されっぱなしだったというべきか。」
アッテンボローは肩をすくめた。
「貴官の助言には感謝に堪えない。あの状況下で一矢報いることができたのは貴官のおかげだ。」
「いや、俺なんかまだまだです。フィッシャー提督の艦隊運用があったからこそできた技ですよ。」
「謙遜だな。」
「そちらこそ。」
二人は声を上げずに笑った。声を上げて笑うにはあまりにも損害が大きすぎた。

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