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俺の四畳半が最近安らげない件
凍れる部屋
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ちゃった〜(ToT)今どこ?寂しいよぅ。みなちゃんをレジに戻して〜(ToT)』


―――うわ駄目だ。最っ高に駄目なタイミングだ。


あいつは基本的には真面目なんだが、恋愛スイッチが入りやすい。大抵は新人が大勢入る4月に集中しているのだが、急なバイト採用で恋愛スイッチがオンになることもある。…次の犠牲者はみなちゃんか…いや、この際その件は後回しだ。
『ねぇ〜ねぇ〜頼むよぅ〜?』
『無理。動けない。冷凍室に閉じ込められた助けて』
『俺だって恋という名の氷のラビリンスに閉じ込められた哀れな虜さ(ToT)』


―――そうじゃねぇよ、こっちはガチの虜状態なんだよふざけんな


大きく息を吐いて吸うと、凍った空気が肺を満たしかけて慌てて咳き込む。こ、こんな冷気で深呼吸したら肺が凍るわ。俺は慎重に少しずつ息をつくと、瘧のように震える腕を無理やり抑えつけ、もう一度スマホに指を滑らせた。
『いや、今はそういうのいいから。ガチなんだB1冷凍室開けろ』
『B1冷凍室でみなちゃんと二人きり…お互いの肌で温め合おう、え、恥ずかしいわ…みたいな〜?』


―――舐めてたわ…恋愛スイッチオン状態の奴の使えなさを。


しかし今現在、通信可能なのがこいつしかいない!我ながら泣きたい状況だけどそれが現実だ。涙を流すな、頬が凍りつく。こいつのきもい恋愛トークをかいくぐり、なんとか冷凍室を開けさせる方法を考えろ、考えろ俺。子供はまだ3歳なんだ。まだまだ俺が必要なんだ。

『みなちゃんの事は後で聞きます。で、まず俺の話を聞いてほしい。俺は今、B1の冷凍室に閉じ込められています。脱出ボタンは、どうやら壊れているようです。自宅の嫁にも連絡がつきません。瞬きも辛いほど冷えてきました。俺はあと10分足らずで凍死するかもしれません。お願いですから助けてください』
『え〜?それもしかして恋愛心理テスト的な〜?』



駄目だこいつまじで使えねぇ!!!



凍死がリアルな現実となって迫って来た。まだ3歳になったばかりの娘が、たまたま早く帰れた夜に、たどたどしくぱーぱ、ぱーぱ!と叫びながら飛びかかってくる光景がぐるぐる回り始める。今死んだら、あいつもう俺の事忘れちゃうだろうなぁ……涙がにじんできて、慌てて拭いた。涙を流すな、頬が凍る。


―――この手だけは使いたくなかったが、もう仕方がない。このままでは俺は死ぬ。119番に通報しよう。


ぷるるる…ぷるるる…という音すら暖かい。やがて少し高めの男の声がした。
「消防ですか?救急ですか?」
「きゅ…あ……あ、あ……」
声が…声が出ない!!俺は懸命に喉を動かしたが寒さでどこかが麻痺したのか、声が全然でてこない。喘ぐような呼吸音が、喉の奥からひりだされるだけだ。もしもし、も
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