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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
第四七話 勇気の誓い
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「つまみ食いはこの程度にしておくさ。」

「た、忠亮さん!私を揶揄いましたね!?」

 おでこにキスをされて、忠亮にその先の気が欠片も無いことを理解した唯依が顔を真っ赤にして怒る。

「ははっ、さすがに(おれ)でも時と場所は弁えるさ。」
「うぅ…忠亮さんのばかぁ!」

「いたいいたい!ちょ、勘弁してくれ。」

 ぽかぽかと忠亮の胸板をたたく唯依。年相応のその行動に少し苦笑いをしながら忠亮は彼女の連打を受け入れ、その背中に手を回す。

「……こんどお詫びをするから許してくれ。」

 こんど、その言葉を聞いて唯依の連打が止まる。
 その今度があるかもわからない。成功率は良くて6割。10人いれば4人は失敗する手術だ。

 失敗すれば運が良くて一生寝たきり、たいていはそう遠くない未来に死ぬ。
 しかも、術後には異物を人体に埋め込むために拒絶反応という爆弾を抱え込むことになる。

「絶対、ですよ……じゃないと一生許さないですから。」
「それは怖いな―――ああ、分かっているよ」

 忠亮の胸元で唯依が呟くように言う。かつて、忠亮が己の婚約者に向けた言葉と同じ言葉を。
 その気持ち、痛いほどに伝わってくる。
 あんな思いを味わうのも、味あわせるのも御免だ。

 このぬくもりを手放したくはない、だけど帰ってこれないかもしれない――――気づけば唯依の背中に回した腕に力がこもっていた。

「……忠亮さ――――。」

 “こんこん”

 唯依が何か言いかけようとしたその時だった。戸がノックされ乾いた音が響く。次いで仲居の声が戸の向こうから届いた。
 それにビクリ!と跳ね跳ぶ勢いで忠亮から離れる唯依――――少し寂し気な男が残された。

「お布団のほうをご用意しても宜しいでしょうか。」
「は、はい!」

「では失礼したします―――おや、お邪魔でしたでしょうか?」


 すっと戸が開いて仲居が入ってくくるなり、顔色を仄かに上気させた唯依と二人の微妙な距離感を見つけた仲居から揶揄いを主成分とした問が投げかけられる。

「いえそんなことはありません!」

 必死に否定する唯依、むしろ肯定しているようなものだ。

「あらあら、では旦那様と奥様は温泉にでも浸かっていらっしゃったら如何でしょう?ここの温泉は湯治にも使われたそうですから旦那様のお体にもきっと良いでしょう。」
「ほう、それは楽しみだ。」

 一見してわかる、片腕が無くしかも顔面に大きな裂傷―――深手を負ったであろうことはだれの目にも明らかだ。
 そんな仲居の言葉に唯依のあからさまな対応に頭を抱えていた忠亮が温泉と聞いて目の色を変えた。

 実は温泉が好きなのだと意外な一面を見る。

「奥様、ご安心を当温泉には美肌効果
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