暁 〜小説投稿サイト〜
木ノ葉の里の大食い少女
第一部
第三章 パステルカラーの風車が回る。
夜叉丸
[2/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
腕が迫る。倒れたサスケはすぐそこ――
 と、そんな我愛羅の目の前に、一人の少女がクナイを構えて立ちはだかった。
 春野サクラ。
 姉のテマリなんかには足元も及ばないくらい弱くて非力な少女がクナイを構え、こちらをキッと睨みつけていた。彼女よりも数倍強いはずのテマリすら恐れた我愛羅に、恐怖のかけらも見せずクナイを向ける。

「サクラちゃああん!!」

 ナルトの叫び声。地面に倒れるサスケが、ボールを受け取ることすら拒んで逃げ出した子供と、サクラの姿がそんな子供を守った夜叉丸と重なる。夜叉丸。あの裏切り者。

「どけ!!」

 砂色の腕は呆気なく彼女を押さえつけ、大樹に力強く押さえつけられた彼女の頭がかくん、と垂れる。夜叉丸のことが脳裏を蘇り、頭が痛んだ。右手で痛む頭を押さえつける。
 ナルトは慌ててサスケを抱えて下へと移動し、サスケを下の方の枝の上に横たえると、振り返ってサクラの名を呼んだ。

「サクラちゃん!!」

 しかしサクラは反応しない。気絶してるだけだといいのだが。

「くそおっ……くそおっ……一体どうすりゃいいんだってばよ……!!」

 どうしようどうしようどうしよう。ここでサクラを見捨ててサスケと逃げるなんてことは出来ない。でもリーですら、サスケですら勝てなかった彼に自分が勝てるのかという疑念がわき上がる。

「何故っ……」

 何故お前らは皆そうやって立ちはだかるのか。
 マナと戦った時のユナトや。リーと戦った時のガイや。そして、サスケと戦った時のこのサクラや――あの子供を殺そうとした時の夜叉丸や。
 一層強くなった頭の痛みに、我愛羅は頭を抱えた。記憶。あの時の続きが蘇る。

 +

 ――やっぱりだめだ……砂が邪魔する――
 物心ついた時から母はいなかった。微笑んでいる母の写真を目の前で刀を振りかざし、自分の手の甲に突き刺そうとしたが、無駄だった。砂が吹き出て刀を阻んだ。
 ――我愛羅さま――
 ――夜叉丸――
 母と同じ色の髪を垂らし、額に包帯を巻きつけた男が数歩進み出た。
 ――こう見えても私は貴方の体調を管理し、お守りするよう風影さまからおおせつかっています。私の前で、そんな真似はやめてください――
 そんな夜叉丸の言葉に我愛羅はうつむいた。夜叉丸が自分に付き添ってくれていることは義務でしかないのだということへの悲しみよりも、悪戯がバレて叱られた子供のような気持ちが大きい。
 ――とはいっても、砂が守ってくれますか――
 夜叉丸が柔和に笑った。その腕にも包帯が巻かれている。そんな姿に我愛羅は、自分の砂が夜叉丸を傷つけてしまったことを思い出した。罪悪感にかられた我愛羅は夜叉丸を見上げ、小声で謝った。
 ――やしゃまる……ごめん――
 言えば夜叉丸はこれはただのか
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ