暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王GX−音速の機械戦士−
―時計塔の戦慄―
[1/10]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
 デュエル・アカデミアの夜10時、俺はいつものデュエル場に立っていた。

 先日の、プロリーグによる亮VSエドのデュエルの折に発表された、エドのデュエル・アカデミアへの……いや、俺への挑戦。
ナポレオン教頭は、喜んでエド側の申し出を承諾した――エドが勝ったら(一応)デュエル・アカデミアの生徒であるエドの宣伝に、俺が勝ったらデュエル・アカデミアの生徒の宣伝になるため、ナポレオン教頭に断る理由は無いのだろう。

 エド側の条件は、出来るだけ一目のつかない深夜にデュエルを行うことだった。

 ……エドの真意は全く分からないが、十代と亮の件もある為に、挑んでくるならば俺は受けて立つという選択肢しかない。

 そして、例の放送でエドが言ったことで気になることがもう一つある……エドの父のことだ。
カードデザイナーのフェニックス氏と言えば、このデュエルモンスターズ界では少し有名な存在で、人気なフェニックス氏がデザインしたカードは人気が出ていたのだが……ある日、何者かに殺されてしまうという痛ましい事件があり、フェニックス氏のカードが出ることは無くなった。

 エドが使用していた《D−HERO》シリーズは、氏の最後の作品であったという……そしてそれを、息子であるエドが受け継いだのだ。

 逆に《機械戦士》というと、一般的には彼の作品だというのは、あまり知られてはいない。
俺も、三沢が調べてくれる前までは知らなかったものだ。

 ……しかし、《D−HERO》と《機械戦士》に、描いている人が同じなら見当たる筈の共通点などが、何も見当たらない。
強いて言えば、全体的にステータスが低めなことは共通しているが……それは関係ないだろう。

 影丸理事長が言うには、実体化も出来ないぐらいの弱めの精霊の宿っているらしい……俺のデッキの《機械戦士》。
深読みに過ぎると自分でも思うが、《機械戦士》は氏の作品ではなく、何か秘密があるのではないか。

もしかしたら、エドは何か知っているかも知れない。

「……大丈夫、遊矢?」

 デュエル場の外にいる明日香から、ずっと考え事をしている俺に心配そうな声がかけられた。

「ああ。ちょっと考え事してただけさ」

 デュエルをする俺の他には、三沢と明日香の同行が許された。
デッキの調整を手伝ってくれたこともあるので、同行させられて良かったことは良かったのだが、中等部であるレイが断られたことが残念だった。

「相手はD−HERO……エド相手に勝機はあるか、遊矢」

「もちろん、と言いたいところだけどな……」

 俺の亮への勝率は三割……そしてそれを、D−HEROをメインになってからのエドはほぼ完封したと言って良い。
そんな相手に、俺は一体勝てるのか……いや、勝たなくてはならない。

[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ