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豹頭王異伝
暁闇
魔道師の想念
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事実上不可能。

 タラント軍2万は動揺の色を見せず、レムス軍に合流。
 国王側の軍は総勢7万となるが幸い、マルガを急襲する気配は無い。
 パロ最強の魔道師は、身も蓋も無く現実的に戦況を考察。
 古代機械から片時も離れず、主を護る事に専念する。

(俺が竜王なら閉じた空間を遙に凌駕する瞬間移動の秘密を求め、古代機械の確保を図る。
 キタイの反乱なんぞ放り出して機械の操縦方法を知る唯一の存在、ナリス様を狙う。
 レムスに憑依する竜王は魔宮に豹頭王を誘い込み、捕獲する絶好の機会《チャンス》を逃した。
 ヤンダル・ゾックと云えども闇の司祭と同様、グインを圧倒するには力不足と云う事かな。

 キタイ全土に渡る規模の大規模な反乱と言っても、互いの連絡が無ければ各個撃破は容易な筈。
 ナリス様に催眠暗示を掛け古代機械を操縦させ、瞬間移動を駆使すれば形勢は一気に逆転する。
 竜王が本当に中原から一時的に撤退した場合、闇の司祭グラチウスはどう出る?
 競争相手の不在に附け込み古代機械、ナリス様を横から臆面も無くかっ掠う。

 如何にも黒魔道師の元締め、くそ爺いの好みそうな悪辣な手口じゃないか?
 魔の胞子に気付かない風を装い、俺を捨て石にしようとした恨みは忘れん。
 八百年も生きてる奴なんか、信用出来るもんか!
 俺は何が起きても此処を動かず、ナリス様の傍から一刻も離れんからな!!)

(ふん、姑息な手を使いおって。
 ゴーラの狼共の周りには、強力な結界が張り巡されておる。
 マルガの子羊共を喰らえ、と嗾けるに何の問題も無い。
 南の鷹は草原に立ち去り、カラヴィア軍の護衛は1級魔道師に過ぎぬ。
 わしには壮大な野望がある、小鳥の歌なんぞに邪魔されはせぬぞ)

(何が姑息だよ、同じ穴の狢じゃんか。
 おじじだって、アルセイスで似た様な事やっただろ?
 空にでっかく、汚い爺いの顔なんか映しちゃって。
 《石の眼》ルールバ、《矮人》エイラハに手伝わせてさ。
 どうせならもっと、マルガのお姫様みたいに綺麗な顔を映しゃ良いのに。
 まぁ、あんだけ拡大されちゃ、大抵の美形でも厳しいけどね)

(やかましい!
 おまえは黙って、くねくねしとればいいんじゃ!!
 イェライシャめ、余計な真似をしおって。
 今度とっ捕まえたら、新開発の胞子を植え込んでくれる。
 アルセイスの地下牢より遙かに強力な結界、鬼面の塔に閉じ込めた上でな!)

(ふんだ、馬鹿馬鹿しい。
 長舌ババヤガに作らせてる《魔の胞子》の変種だって、未だ出来てないくせに。
 暗黒魔道師連合なんて、大した事ないね!
 あの小汚い3匹位しか結局、使い物にならね〜んじゃね〜の。
 ヴァレリウスの方が、よっぽど役に立ってんジャン。
 ばーか、ばーか
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