暁 〜小説投稿サイト〜
魔女に乾杯!
95部分:第九十四話

[8]前話 [2]次話

第九十四話

               第九十四話   意外な素顔
 そして姉について行った。見れば葵達は年老いた一人の老人と話をしていた。
「お掃除終わりました」
「そうか、いつも済まないねえ」
 その老人はそれを聞いて有り難そうに礼を述べていた。
「いつも?」
「何か今回だけじゃないみたいだね」
 木の陰から見ている赤音達はそれを見て囁き合った。
「おかげでこの神社も綺麗になったよ」
「御礼なんていいのよ、神主さん」
 だが葵はここでこう言った。
「いいのか」
「ええ。だって私達好きでやってるんだし」
「そうおす、だから気にしなくていいのよ」
「ボランティアみたいだね」
「嘘みたい」
 赤音達にとっては信じられないことであった。
「また来るから。その時宜しくね」
「こんないい娘達がおるとはのう」
 神主さんは感嘆を込めて言った。
「まだまだ世の中捨てたもんじゃないわい」
「・・・・・・行こうか」
 赤音はそこまで見て使い魔達に対して言った。
「何があったのかわかったし」
「もういいの?」
「いいの」
 彼女は言った。
「わかったから」
「そう」
 こうして彼女と二匹の使い魔は神社を後にした。そして小声で話しながら家へと帰って行った。
「意外って言えば意外だったね」
「そうだね」
 二匹はフードにいた。その中から赤音に話し掛けていた。
「お姉ちゃんがあんなことしてたなんて」
「てっきりアルバイトか何かだと思ってた?」
「それか悪いことしたか。どっちかだと思ってたのよ」
 赤音は言う。
「けれど。両方共違ったから」
「それがね。意外だったよね」
「うん。けれどいい意外だったわ」
「いい意外?」
「だってお姉ちゃんの別の顔が見られたんだもの」
 赤音は朗らかな顔になっていた。
「よくお姉ちゃんに言われてるんだ。女には色々な顔があるんだって」
「そういえばそうだね」
「それってこいうことだったんだね。お姉ちゃんもやる時にはやるんだ」
「少し違うかも知れないね」
「うん」
 ジップとハリーにはそれが違うということが少しわかっていた。だがそれはあえて言わなかった。
「まあいいか」
「御主人が御機嫌だし」
 赤音はそのまま歩いて行く。そして家へと帰るのであった。


第九十四話   完


                  2006・2・28


[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ