第一章
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気になる人は
土方光は斎藤駿のことを誰にも言わないが気になっている。
光は黒髪をショートにしており黒目の明るい顔立ちをしている、背は一六七と高く薄い眉に細面でありショートヘアから見える耳は大きい。
駿は癖のある髪を短くして金色になるまで脱色している。背は一七三程であり顎の先が尖った細い顔であどけない目を持っている。眉は濃いめですらりとした身体だ。二人は同じ高校の同じクラスである。
その駿を見つつだ、光はいつもだった。
言おう言おうと思っていた、だがどうしても言えずに。
何気ないふりを装っていた、それでだ。
クラスメイト達や所属している陸上部の面々にもだ、彼のことは意識して言わなかった。
そんな彼女にだ、友人達はこう言うのだった。
「光もそろそろ彼氏持ったら？」
「光なら誰か出来るわよ」
「可愛いしスタイルいいし」
「何より性格いいしね」
光のその性格も言われるのだった。
「明るくてね」
「しかも面倒見いいし」
「尚且つ公平」
「友情にも篤いし」
「多分におっちょこちょいだけれどね」
「焦ったら結構自爆するけれど」
笑いながら弱点も言われるのはご愛嬌だった。
「それでもね」
「プラスマイナスでプラス多いし」
「絶対に彼氏出来るわよ」
「それでいい恋愛出来るわよ」
「恋愛ね」
そう言われるとだ、駿は。
いつも目を泳がせてだ、こう言うのだった。
「今はいいわ」
「本当に？」
「いいの？」
「彼氏いらないの？」
「恋愛したくないの」
「とりあえずはね」
本音を必死に隠して答えるのが常だった。
「別にいいわ」
「まあ光がそう言うのならね」
「私達も何も言わないけれど」
「あんたのことだしね」
こう言われては友人達もこう返すしかなかった。
「それならね」
「そうした相手を見付けるまでね」
「そのままでいたらいいわ」
「あんたがそうしたいのなら」
「今はね」
やはり本音を隠して言う光だった。
「それでもいいの」
「一人でも」
「それでもなのね」
「そう、別にね」
やはり本音を隠す光だった、そうして誰にも気付かれない様にして駿を見てそのうえで悩んでいた。そうした日々を送っていた。
しかしだ、ある日のことだった。
光はその噂を聞いてだ、必死で心の中の狼狽を隠して親しい友人である沖田柚に聞いた。
「ねえ、斎藤がね」
「斎藤がどうしたの？」
「同じ部活の子に告白されたって」
「ああ、吹奏楽のね」
駿は吹奏楽部に所属している、ちなみに光は科学部だ。実験が大好きで所謂理系女子リケジョと呼ばれている。
「あの部活の」
「それ本当の話？」
「そういえばね」
柚はその眼鏡の顔を考えさせる
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