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英雄の失態
第三章
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「そう考えています」
「はい、私もです」
「私もそう考えます」
「グルーシー元帥と同じです」
「ここはです」
 他の将帥達も言う。
「他の方にされるべきです」
「そう思いますが」
「私はそうした行動に向いていません」
 グルーシーはまた自分から言った。
「敵を追撃しいざとなればですね」
「そうだ、本軍に戻るのだ」
 ナポレオンは再び彼の考えを話した。
「プロイセン軍を見失えばな」
「そうした行動は」
「他の方に任せては」
「ネイ元帥はどうでしょうか」
 将軍の一人が将帥の中でもとりわけ見事な姿勢で立つフランス軍元帥の軍服が似合う男を見てナポレオンに言った。
「この方ならです」
「そうした行動に向いているか」
「はい、その軍勢の兵種は」
「騎兵だ」
 ナポレオンはその将軍に答えた。
「騎兵隊三万五千だ」
「騎兵ですね、それなら余計にです」
「騎兵を指揮することが得意なネイ元帥か」
「はい、この方です」
 ネイを見ての言葉だ。
「ネイ元帥ならば皇帝のお考えを忠実に実行してくれます」
「いや、ネイはだ」
 ナポレオンもネイを見て言う。
「ここに置く」
「本軍にですか」
「そうだ、そしていざという時にだ」
 まさにだ、その時にというのだ。
「本軍の騎兵を率いて戦ってもらう」
「左様ですか」
「そうだ、だからここはだ」
 ナポレオンはまたグルーシーを見て言った。
「彼に任せる」
「そうされますか」
「では、ですか」
「騎兵隊三万五千はグルーシー元帥に預け」
「そして、ですね」
「プロイセン軍を追ってもらう、では我々はだ」
 残った彼等はというと。
「決戦だ」
「イギリス軍とですね」
「ウェリントン将軍が率いる彼等とですね」
「戦いですね」
「いよいよ」
「イギリス軍を撃破する」
 既に決まっていることとしてだ、ナポレオンは言った。
「わかったな」
「わかりました」
「ではイギリス軍を破り勝ちましょう」
「そしてフランスの栄光の歩みを再会させましょう」
「再び」
「私は生き残る」
 ナポレオンはこうも言った。
「勝ちな」
「わかりました」
 将帥達は敬礼をして応えた、グルーシーはその三万五千を率いてそのうえでプロイセン軍を追った、だが。 
 彼はプロイセン軍を見失った、そして周囲も彼自身も予想した通りにだった。彼はナポレオンの命令を墨守してだった。
 プロイセン軍を追い続けた、だが彼の耳にはフランス軍が多くの敵と戦う砲声が追うその中でも聞こえていた。
 その砲声を聞いてだ、士官達は彼に言った。
「閣下、どうもです」
「本軍が危機的な状況にある様です」
「砲声が多くなっています」
「それもかなり」
「ですからここはです」
「本軍の方
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