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魔女に乾杯!
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第七十九話

               第七十九話 美奈子と先生
 美奈子は魔法は習ってはいない。塾に通っていないからそういうことになっている。華奈子は魔法を使えるのでそこが二人の大きな違いの一つとなっていた。
「じゃあ行って来るね」
「うん」
 今日は華奈子の塾の日だった。学校から帰ってすぐに塾に向かう。今日は美奈子は一日家にいる。だが彼女はすぐに家を後にしたのだった。
「私も行って来ます」
「あら、お友達のところ?」
「うん」
 母にそう応えて家を後にする。そしてそのまま何処かへ行ってしまった。
 それから暫く経った。華奈子達の塾の講義も終わり先生は家を出た。そして歩いて商店街に向かった。その時であった。
「あら」
 美奈子に気付いたのだ。一人で商店街にいる彼女に声をかけようとした。だがそれより前に美奈子の方から声をかけてきた。
「今日は、先生」
「はい、今日は」
 先に声をかけられて少し戸惑いを覚えたがそれに返した。そして二人は側に行って話をはじめた。
「華奈子ちゃんのお姉さんですよね」
「はい」
 美奈子はにこりと笑って言葉を返した。
「美奈子っていいます。宜しくお願いします」
「はい、宜しくお願いします」
 先生もにこりと笑って返した。
「華奈子ちゃんの塾の先生の今田です」
「今田先生ですね。お話は聞いてます」
 美奈子は先生の顔を見上げながら言った。
「とても優しくて素敵な先生だって。いつも華奈子が言ってますよ」
「あらやだ、華奈子ちゃんたら」
 先生はそれを聞いて頬を赤らめさせた。
「そんなこと言ってたなんて。恥ずかしいわ」
「けど華奈子はいつも言ってますよ」
「そうなの」
 立ち話も何なので二人は場所を変えた。喫茶店に入り話を再開したのである。
「ところで華奈子ですけど」
「はい」
 美奈子は紅茶を、先生はオレンジジュースを飲みながらの話となった。どういうわけか美奈子の方が大人っぽいものを口にしていた。
「どうですか、真面目にやってますか?」
「華奈子ちゃんはいい娘ですよ」
 先生はやはりにこやかな顔で応えた。
「そうですか。それはよかった」
「真面目で熱心で。魔法は凄くお上手ですよ」
「勉強はあまり好きじゃないんですけれどね」
「華奈子ちゃんはそれよりも魔法の方が好きみたいだから」
 先生は述べた。
「けれど頭はいいんですよ。だから魔法もすぐ覚えてくれます」
「そうなんですか」
「特に火を使った魔法がね。得意なんですよ」
「ふんふん」
 美奈子は興味深げに話を聞いていた。そして彼女は先生から魔女としての華奈子について詳しく聞くのであった。

第七十九話   完

                  2006・1・6


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