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STARDUST唐eLAMEHAZE
第一部 PHANTOM BLAZE
エピローグ 〜BEYOND THE WORLD〜
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【1】

 精巧な造型のヴェネチアン・グラス。
 注がれていた真紅の液体は、いつの間にか無くなっていた。
「……」
 男はグラスの表面に映った自分の姿を黙って見つめる。
 その脇に佇んでいた白い大きなマントと帽子、
そして零下に磨かれた氷像を想わせる
繊細な容貌の少女が音も無くそっと男に歩み寄る。
 そして手にしたクリスタル製の水差しから
たった今湧きだした鮮血のように紅い、
空気に触れてその蠱惑的な芳香を最後まで引き出された
液体を完璧な作法でグラスに注ぎ、中程までに充たす。
「……」
 そのグラスを手にした者。
 その真名 “邪悪の化身”
叉の名を 『幽血の統世王』
 DIO。
 その絶大なる能力(チカラ)を精神の裡に携えた全能者は、
クリスタルの水差しを手にした少女に向けて
堕天した熾天使(してんし)のような微笑を口唇に浮かべる。
「……ッ!」
 少女は、その絶対零度の容貌を仄かに朱に染め、
クリスタルの水差しを両手に持ったまま少し俯いた。
 DIOはその様子を悦しそうに一瞥すると、
真紅の液体で満たされたグラスを傾けた。
「……ッッ!!」
 そのDIOと少女の背後で、
イタリアギャングの 「幹部」 が着るようなダークスーツに
プラチナブロンドの髪をオールバックにしたサングラスの男が
口元をギリッと軋ませ震える右手で拳を握った。
「……」
 またその一方で、ダークスーツの男の様相を敏感に察知する
アッシュ・グレイの髪を背に携えた長身の男。
 象牙のように滑らかな質感の白い肌、
両腕両脚部を剥き出しにしたラヴァー製のコスチューム、
細身だが戦闘用に極限まで鍛え抜かれた肉食獣(プレデター)の如き
美しさと獰猛さを併せ持つ肉体。
 ソレに相剋する強靱な精神力、
統世王配下最強の幽波紋(スタンド)戦士
『亜空の瘴気』 ヴァニラ・アイス。
 その途轍もなき遣い手が静かな、
しかしこの世の何よりも暗い眼差しでダークスーツの男を見据える。
「ッッ!!」
 男の方もすぐに、そのドス黒い険難な視線に気づく。
 ヴァニラ・アイスは言葉には出さず、
しかし瞳孔に宿った暗黒のみでダークスーツの男に呼びかける。


“消されたいのか?”


(ッッ!!?)
 ダークスーツの男を、突如全身バラバラにされるような凄まじい戦慄が劈く。
 紹介が遅れたが、実はこの男は “人間ではない”
 この世に渡り来た“紅世の徒”が作った組織の中では最大の規模を誇る組織、
仮装舞踏会(バルマスケ)
その主柱的存在 『三柱臣』 の一角足る強大なる“紅世の王”
その真名 “千変(せんぺん)” シュドナイ。
 付け加えるならば先刻DIOのグラスに真紅の液体を注いでいた

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