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魔女に乾杯!
30部分:第二十九話
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第二十九話

                 第二十九話  葵と赤音
 葵は赤音の姉である。高校生であり美人で知られている。高校では男子生徒に人気が高い。一緒にいる男の子がいつも違う程である。
「葵ちゃんにも困ったものねえ」
 二人の母はのどかな様子で心配そうな声をあげる。赤音は彼女に似たのかおっとりとした声であった。
「ははは、母さんは心配性だな」
 それを父親が笑い飛ばす。場違いな程豪快な笑みで口髭を揺らす。父親はどっしりとした感じであり、母親は赤音そっくりの外見であった。いや、この場合は赤音が彼女にそっくりと言うべきか。
「心配どころじゃないんじゃないかな」
「同感」
 ジップとハーリーはそれを見て囁き合う。まだ二匹の使い魔の方が危機感があった。
 しかし当の本人はそんなことは何処吹く風である。相も変わらず男の子達とデートを重ねていた。
「お姉ちゃんってもてるのね」
 赤音はそれを見てふと呟いた。
「いいなあ、私ももてたいな」
「こら、おませさん」
 新しい彼氏と玄関で別れて家に帰ってきた葵がそう呟いていた赤音を叱った。ブレザーにフレアのミニスカート、そして黒いハイソックスというお決まりの格好であった。
「そんなこと言うにはほんの少し早いわよ」
「ほんの少し?」
「そうよ」
 葵は答えた。
「それはね。おっぱいが大きくなってから言うものよ」
「おっぱいが」
 赤音はここで自分と葵の胸を見比べた。結果は言うまでもなかった。
「そうよ、女の子はね、そこと顔で魔法を使うのよ」
「魔法なら私も使えるよ。光の魔法が」
「その魔法とは違うのよ」
 葵は悪戯っぽく笑った。
「違うの?」
「ええ」
「どういうことなの?」
「すぐにわかるわ。女の子だけが使える魔法が」
「そうなの」
「普通に顔とおっぱいだけじゃ駄目なのよ。わかるかしら」
「ううん」
 しかし赤音はそれには首を傾げるばかりであった。
「御免、よくわからないや」
「今はそれでいいわ。けれどね」
 葵はまた言った。
「魔法はね、魔術だけじゃないのよ。それは覚えておきなさい」
「うん」
「それじゃあね」
 葵はそう言い終えると自分の部屋に入った。そして制服を脱いで私服に着替えた。ラフな白いシャツに青いジーンズのミニスカートである。サングラスまでシャツの胸の部分にかけていた。
「ちょっと出掛けるわね。晩御飯までには戻るから」
「さっきの人とデート?」
「まあね」
「魔法を使うのね?」
「そうよ。あと一つ言っておくわ」
「何?」
「魔法はね」
 葵はここでくすりと微笑んだ。
「大事なものは絶対にあげないことが一番大事なのよ。よく覚えておいてね」
「!?」
「これもそのうちわかるわよ。うふふ」
 そして葵
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