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魔女に乾杯!
13部分:第十二話
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第十二話

                    第十二話  使い魔 
 タロとライゾウは菊地家のペットであると同時に華奈子の使い魔でもある。使い魔は家のペットをそのまま使う場合が多いがこの二匹もそれは同じであった。
 タロは犬、ライゾウは猫である。それぞれ仲が悪そうなものであるが案外そうではない。
 タロはおっとりとしている。ライゾウは趣味が多い。それぞれ個性が違うのが二匹にとって非常によかった。
「ライゾウ、またビデオかい?」
 テレビの前でちょこんと座るライゾウにタロが声をかけてきた。
「最近その番組に夢中だね」
「面白いからね」
 ライゾウは振り返ってそう答えた。
「タロも見たらどうだい?面白いよ」
 見れば特撮ものであった。五人の戦士達が悪の組織と戦うこの手のものでは定番の一つであった。
「僕はいいよ」
 タロはその申し出をやんわりと断った。
「今は昼寝を楽しみたいからね」
「また昼寝かよ」
 ライゾウはそれを聞いて呆れたような声を出した。
「旦那はいつもそればっかりだね」
「他にすることがあるかい?」
「テレビを観たりゲームをしたり」
「どっちも好きじゃないからね。だったら寝るしかないよ」
「おやおや」
 ライゾウは今度はおどけた声と仕草をした。
「寝てばかりじゃ面白くないじゃないか。短い一生、楽しもうぜ」
「寝て楽しみたいな」
「しょうがいないな、旦那は。まあいいさ」
 ライゾウはそう言って前に向きなおした。
「おいらはビデオ観とくから。何かあったら声かけてくれよ」
「ああ、そうするよ」
 タロはそのまま奥の部屋に消えた。そして昼寝をはじめた。ライゾウは相変わらずビデオの前に釘付けであった。
 夕方になるとタロは華奈子と一緒に散歩に出る。その時時々ライゾウも一緒だったりする。今日は一緒だった。
「ねえタロ」
 華奈子が声をかけてきた。
「何だい?」
「あんた最近太ってきてない?」
「気のせいだよ」
「いや、気のせいじゃないよ。だってお腹が」
 見れば肉がついてきていた。
「寝すぎなんじゃないの?いつも昼寝してるでしょ」
「・・・・・・ああ」
 渋々ながらそれを認めた。
「だからよ。寝るのもいいけど程々にね」
「ほらね」
 ライゾウがそれを聞いてタロに得意そうに言った。
「旦那は寝てばかりだから。ちょっとはおいらみたいに趣味を多く持たなくちゃ」
「あんたもよ」
「おろ」
 だがここで華奈子のボディブローのような言葉が飛んできた。
「あんたはタロより太ってるじゃない。いつもテレビばかり見てるから」
 見れば腹はタロより出ている。たるんでいる程だ。
「確かスコッティって太りやすい体質よね」
「ま、まあね」
「ちゃんとダイエットしなさい。さも
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