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魔女に乾杯!
116部分:第百十五話

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第百十五話

                     第百十五話   力を合わせて
 梨花の目は落ち着いていた。そして何かを見ていた。
「いい、皆」
「うん」
 他の四人はそれに頷く。
「まずは皆の魔法を一気に出して」
「魔法を!?」
「ええ、魔力が吸い取られる前に」
 梨花は言う。
「一気に蝶をやっつけるの。いいわね」
「けど。大丈夫かな」
「迷ってる暇じゃないよ、春奈ちゃん」
 華奈子が春奈に対して言った。
「今はね。いいわね」
「ええ、わかったわ」
「それしかないわね」
 美樹も頷く。
「それじゃあ皆やろう」
「ええ」
 赤音が言うと他の四人もそれに応えた。
「いくわよ」
 それぞれ身構えた。そして魔法を放つ。
「それでいけるかしら」
 そんな五人に魔女の声は相変わらず余裕に満ちたものであった。
「私の蝶は。甘くはないわよ」
「確かに甘くはないでしょうね」
 華奈子はそれに応える。
「あんたの蝶はね。けれどあたし達だって甘くはないわよ」
「そうなの」
「ええ、それを今見せてあげるわ」
 華奈子は炎を放った。そして他の四人もそれぞれ魔法を放つ。
 それをそれぞれ蝶達に放つ。それは美樹の風に乗って忽ちのうちに嵐となった。
「!?」
「その蝶の色を見てわかったわ」
 梨花が言った。
「魔力を吸い取るのなら何を吸い取るのかがね」
「見抜いたの」
「ええ、色があるのがかえって仇になったわね」
 梨花の声は笑っていた。
「その蝶は私達一人にそれぞれ対応している。そして」
「あたしには赤い蝶って感じね」
「そう。だから赤い蝶は火を吸い取るの」
 見ればその通りであった。風の中にある赤い蝶は火を打ち消していた。
「けれど他のは吸い取れない。潰されていく」
 土と光、そして水と風を受けると蝶は壊れていった。脆く、燐粉となって消える。
「それで間違いないわよね、紫の魔女さん」
「ええ」
 魔女の声は悔しさに満ちたものであった。
「お見事」
 まずは五人を讃えた。
「けど。これだけじゃないわよ」
 彼女はまだ負けてはいなかった。戦いはさらに続くのであった。


第百十五話   完


                      2006・5・16



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