暁～小説投稿ｻｲﾄ～:魔王に直々に滅ぼされた彼女はゾンビ化して世界を救うそうです第10話『決意の夜』

暁～小説投稿ｻｲﾄ～

魔王に直々に滅ぼされた彼女はゾンビ化して世界を救うそうです

第10話『決意の夜』
[5/5]

いた。
　その気持ちは理解していた。

　だから、それを責めるのはお門違いなのだ。

　けれどそれでもやっぱり悲しくて、とっても辛くて、泣きたくなって――。

　　　　　　　　──眠気が再び襲ってくる。目蓋が重くなっていき、体が重い。

　彼は、一緒に泣いてくれたのだ。
　私のために怒って、私のワガママを聞いてその怒りを鎮めて、恐怖に震えて、縋ってしまった私を抱きしめて、心から辛そうに泣いてくれた。
　その時に彼が言っていた『ごめん』の意味は分からなかったけれど、ジークは自分の為に泣いてくれたのだ。

　いつからか、スィーラはジークに依存を始めてしまっていた。
　けれど、それを悪い事とは思わない。

　　　　　　　　──こくり、こくりと眠りに落ちていく。意識が混濁していき、手足の感覚も遠い。

　昔の事は覚えていないけれど、私はどうにもワガママだったみたいで、今も好き勝手に周りを振り回している。

　きっと、彼はずっと一緒に居てくれる。

　そんな彼の優しさに甘えて、その優しさに縋って。

　こんな勝手な、自分勝手な気持ちでも、あなたに伝えられるのなら。

　この喉では満足に言葉も紡げないけれど──。

　――だいすきだよ、じーく。

　　　　　　　　──そうして今度こそ、彼女は深い眠りに落ちた。

　第1章『――彼女が人に何をした？』　Fin

NEXT→第2章『あたたかな手は』

[8]前話 [9]前最初 [2]次話

※小説と話の評価する場合はログインしてください。

[6]

[0]目次に戻る

暁～小説投稿ｻｲﾄ～
利用規約/ﾌﾟﾗｲﾊﾞｼｰﾎﾟﾘｼｰ
利用ﾏﾆｭｱﾙ/ﾍﾙﾌﾟ/ｶﾞｲﾄﾞﾗｲﾝ
お問い合わせ

2024 肥前のﾎﾟﾁ