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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第十話 再開を祝して
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連発した。
「どうして?」
「だって、あの人皆をバカにするんですよ。自分が次世代型の艦娘だからっていつも言うんです。紀伊姉様のことさえもバカにするんです。ふざけてますよね!!だから大っ嫌いなんです。」
紀伊は言葉を失った。自分をベタ褒めしていた妹が尾張の話になると悪感情むき出しで話すこともショックだったが、それ以上にどうも尾張の方は何かと問題のある性格らしいことにもショックを受けていた。
「一応紀伊型空母戦艦の2番艦なので、私にとっても姉様じゃないですか。だから顔は立てますけれど、心の中ではいつも舌を出してました。」
紀伊は半ばあきれ、半ば面白がっていた。自分をこんなに慕っている一方で次姉の方には敵意をむき出しにしている。子供っぽいといえばそうなのかもしれないが、讃岐は素直すぎる性格のようだった。
 ふと、紀伊は妹の言った言葉を反芻してあっと声を上げた。
「今、なんて言ったの?」
「え?『一応姉様じゃないですか?』って――。」
「その前。今紀伊型空母戦艦って・・・・。」
「あれ?もしかして姉様自分の艦種を知らなかったんですか?聞かされていなかったんですか?」
「ええ・・・・。」
讃岐は少し戸惑ったような顔をしたが、すぐに話をつづけた。
「正規空母並の搭載力と高速機動性、そして巡洋戦艦並の装甲と主力戦艦級火力、防空戦闘能力を備えた艦が私たちなんです。空母と戦艦の合いの子みたいな存在だし、航空戦艦の皆様方と混同しないようにって、いうことなので、空母戦艦なんですって。」
「・・・・・・・・。」
「私たちの持つ最大の特徴は噴進艤装によって瞬間的にどの艦よりも高速を出すことができるんです。姉様、気づきませんでした?」
紀伊ははっとした。第七艦隊の時も、南西諸島海戦の時も、駆逐艦すら追い抜いて現場に急行できたのは、そういうことだったのだ。
「私は生まれてすぐにそのことを聞かされました。というかその時には尾張姉様も近江姉様もいらっしゃったので、隠す必要がなかったのかもしれません。でも・・・・たぶん・・・・姉様は一番最初でしたからきっと極秘にされていたのですね。」
ここでまた讃岐は歯切れの悪い口ぶりに戻った。
「極秘・・・・。」
紀伊はその言葉を反芻して首を傾げた。なぜ極秘にされていたのだろう。なぜ自分は他の艦娘と違い、前世の記憶を持たなかったのだろう。なぜ誰も自分のことを教えてくれなかったのだろう。

 そして――。

何のために自分は生まれてきたのだろう。

多くの仲間や先輩に囲まれ、ようやく自分の足で歩き始めることができたと思っているが、時折ふっとその思いが湧きあがることがある。そしてその思いを味わうとき、自分の足元が崩れ、はかなく散っていくような虚無感にとらわれるのだ。

「姉様?」
讃岐が紀伊を不安そうに見
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