暁 〜小説投稿サイト〜
忘れ形見の孫娘たち
13.行こうよ
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「……重い」

 フと目が覚めた。部屋の中はもう真っ暗だ。背中に何かが乗っかってる。

「……なんだ?」

 僕は寝てる最中にうつ伏せになっていたらしい。背中に手を伸ばす。人の頭みたいなものがある。

「なんだこりゃ……誰だ?」
「え……もう朝?」

 段々目が冴えて記憶が鮮明になってきた。そういえば家に戻ってきてからそのまま寝ちゃったんだっけ……真っ暗だからもう夜なのか。

「んー……ちょっとかずゆき……」
「あ?」
「鈴谷の頭ぐしゃぐしゃにしないで……」

 どうやら僕の背中に乗ってたのは鈴谷の頭だったようだ。そういえば寝るときに鈴谷が僕を枕にして寝てたっけ。

「人の腹を枕にするからだ……」
「文句言わなかったくせに……」
「んー……」

 背中に感じてた重みが離れた。鈴谷が上体を起こしたみたいだ。僕も上体を起こす。

「んー……おはよ?」
「ん。おはよう?」

 寝起きだけど真っ暗だからか? 二人とも妙な挨拶をしてしまう。なんだか妙に気恥ずかしい。お互い無防備に寝ちゃったからか?

「とりあえず電気つける」
「ん」

 まだ寝起きでふらふらする頭を支え、部屋の明かりをつけた。蛍光灯の眩しさは思った以上に僕らの両目に突き刺さってきた。

「まぶしっ」
「まぶ……ぶふぉっ」
「? どうした鈴谷?」
「ほっぺた」
「ほっぺた?」
「畳のあとがクッキリついてるよ?」
「マジか……」

 自分のほっぺたを触ってみた。確かに畳のあとがクッキリついている……でも鈴谷も人のことは言えない。同じくうつぶせだったのか、ほっぺたが赤くなってる。枕にしていた僕の背中のあとだろう。

「マジで?! はずかし……」
「ザマミロ」

 自分のほっぺたをごしごし吹いている鈴谷をほっといて、僕は時計に目をやった。夜八時か……思ったより深夜じゃなかったな。

「……喉乾いた」
「……麦茶でも飲むか」
「かずゆきぃ〜持ってきて〜」
「甘えてないで居間まで来ればいいだろう……ったく……」
「うん。一緒に行くー」

 二人で部屋を出て居間に向かう。家の中は真っ暗で、今日は父ちゃんも母ちゃんも疲れて早く寝てしまったようだ。八時前に寝るってどう考えても五歳児じゃないか……。

「かずゆきは人のこと言えないけどね」
「お前もな」

 居間にたどり着いたらそのまま電灯をつけ、台所に入って麦茶をコップに注ぐ。鈴谷は居間の椅子にこしかけてテレビの電源を入れた。ゴールデンタイムの番組が賑やかに始まっていた。

「はい。特別サービスで鈴谷の分もいれたぞー」
「はーい」

 鈴谷は僕から麦茶を受け取ると、いつぞやのように喉をぐぎょぐぎょ鳴らして一気飲みしていた。なんだよそんなに喉
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