暁 〜小説投稿サイト〜
SAO−銀ノ月−
第百十二話
[1/11]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「やぁぁぁぁぁっ!」

 迫り来る魔法の火炎弾を高速で飛翔することで通り過ぎながら、ユウキは敵の包囲するただ中へ向かっていく。背後からシリカの警告の言葉が届いたものの、その言葉すらも置き去りにするほどの速度で。

「……援護お願い!」

「ぇ、援護って……リーファさぁん!」

 そんなユウキに触発されたのか、リーファもまた迫る魔法の弾幕をかいくぐり、敵陣に長刀を構え飛翔する。元はといえば、魔法を高速飛翔して接近戦に持ち込む、というのはリーファの得意技でもあり――ユウキと肩を並べていく。

 ……ショウキとリズがPK集団と戦っている最中、こちらのルクス救出部隊も行動を開始していた。救出部隊といっても、かなりの大部隊の中に混じったルクスを救出する、という役目のために、先述の二人以外の戦力は全てこちらにいる。相手は読み通り自称中級者と言ったところか、大した腕前ではなかったようだが、あくまで今回の目的はルクスの救出だ。

 あんまり正面きっての戦闘は得策じゃない――自称リーダー代行のシリカは、そんな旨を相談していた筈だが、どうやらユウキには伝わっていなかったらしく。撃ち込まれる魔法を必死に空中で避けながら、シリカはひとまず前線で暴れる二人に支援魔法をかける。

「おーいシリカよう、今のうちに頼むわ」

「頼むって……」

 ユウキとリーファの突貫を眺めていたクラインも、そんな言葉を問いかけてきたと思えば、またもや敵陣に突撃していく。白兵戦の能力なら仲間うちでもトップクラスな三人だったが、明らかに多勢に無勢でいて――ただし三人の突撃は、まるで無謀で無策な訳ではなく。

「……行くよ、ピナ」

 シリカは肩の上に乗ったピナに声をかけると、地上すれすれまで落下した後、そのすれすれの位置を飛翔していく。近寄らせまいとする魔法の弾幕は、強行突破したユウキのおかげで大分減った。ならばシリカの仕事は、他の三人がわざと目を引きつけながら戦っている最中、ルクスを見つけて助けだすことだ。

 故に、わざと派手に暴れ回るユウキは、敵プレイヤーが殺到してシリカからはよく見えない。それでも――味方であるこちらが引くほどの大立ち回りを見せているのは、何となく敵プレイヤーの反応を見れば分かる。

「さあ! 次は誰!」

 目立たないように飛行するシリカの耳に、そんなユウキの声が聞こえてくる。彼女の強さはよく知っているところであるが、まさか三人で耐えられる筈もない。急いでルクスを見つけようと、シリカは低空で飛行していると、肩に乗ったピナが鳴き声を発した。

「……ルクスさん!」

 シリカからすれば、もう長い付き合いとなった、ピナの鳴き声の意図を察するのは容易い。ピナが見ていた方向に目をやってみれば、フード付きの妖精と囚われたルクス
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ