暁 〜小説投稿サイト〜
クローバー
第三章
[1/2]

[8]前話 [1] 最後
「これでいい、しかもだ」
「しかも?」
「しかもといいますと」
「近頃民達の間でこんな遊びが流行っている」
 子爵はここで微笑んで言ったのだった。
「クローバーはごく稀に四葉のものがあるな」
「幸運をもたらすという」
「あの四葉のですか」
「クローバーの中からそれを見付けようという遊びが流行っているのだ」
 このことを話すのだった。
「そして見付ければな」
「幸運が訪れる」
「そういうことですね」
「そうだ、そうした遊びが流行っていてだ」
 それでというのだ。
「民達は仕事の合間に楽しんでいるのだ」
「四葉ですか」
「あのクローバーですか」
「あのクローバーを見付ける遊びですか」
「そうしたものが流行っているとは」
「それで思ったのだが」
 子爵はここで微笑んで言った。
「その四葉のクローバーをこの地の紋章にするか」
「クローバーをですか」
「あれをですか」
「当地の紋章にしますか」
「その様に」
「うむ、この地はクローバーを入れて農業だけでなく牧業も出来る様になり」
 そしてというのだ。
「そのうえで豊かになったからな」
「だからですね」
「クローバーのお陰でこうなった」
「豊かになった」
「そして民達も楽しい遊びを行っている」
「だからクローバーをですか」
「紋章にしよう、その紋章はだ」
 クローバーのそれはというと。
「わかるな」
「はい、四葉ですね」
「クローバーはクローバーでもですね」
「四葉ですね」
「四葉のクローバーですね」
「それにしよう」
 そのクローバーにというのだ。
「只のクローバーでなくな」
「そうですか、では」
「四葉のクローバーを紋章にしましょう」
「確かにこの地に相応しいです」
「クローバーで豊かになりましたから」
「クローバーはこの地に幸運をもたらした」
 微笑みだ、子爵はこうも言った。
「それならいいな」
「それでは」
「その様にしましょう」
 官僚達も微笑み頷いた、こうしてだった。
 この地の紋章は四葉のクローバーとなった、それはこの地だけでなく。
 子爵家の紋章もそうなった、しかもだった。
 子爵は王にだ、この地を豊かにした功績を認められて。
 この地の領主に任じられしかも爵位も上がり伯爵となった、家は子爵家から伯爵家にもなった。それでだった。
 彼は地に立てた自身の屋敷でだ、こう言ったのだった。
「まさにクローバーは幸運の象徴だな」
「はい、我が家にもですね」
「幸運をもたらしてくれましたね」
「この地だけでなく」
「当家にも」
 家の者達も彼に笑顔で応えた。
「この地に任じられてから跡継ぎの方も生まれられ」
「すくすくと育っておられます」
「まことにです」
「クローバーは幸運の象徴
[8]前話 [1] 最後


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ