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気になって
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第三章

「経営してるんだよ」
「じゃあ」
「そう、この人達なんだ」
「はい、そうなんです」
「私達が経営しています」
 ここで二人のシェフもだ。笑顔で言ってきた。
 そしてだ。こうも言う二人だった。
「レストランで知り合って」
「そうしてなんです」
「そうなんですか」
「はい、僕がですね」
 笑顔でだ。男のシェフが智秋に言う。
「先輩だった妻と知り合って」
「そうしてこのお店をはじめたんですよ」
 女のシェフも言う。
「それでなんです」
「そうなんですか」
「意外ですか?」
「このことは」
「はい、少し」
 実際にそう思うとだ。智秋も答える。
「年上の奥さんですか」
「はい、そうなります」
「私が三つ上です」
「三つっていうと」
 智秋は健より二つ上だ。彼女は二十一で健は十九だ。しかしその二人よりもだ。
 目の前の二人は差が開いていた。そのことに驚いてだ。
「そうなんですか?」
「あれっ、何か?」
「おかしなところでも」
「いえ」
 思ったことは隠す。言えるものではなかった。
 だからそうしてからだ。あらためて二人に言うのだった。
「そうなのですか」
「はい、そうです」
「二人でやってますよ」
「そうですか」
 二人はそのこと、女の方が年上であることに何の気兼ねもない様だった。そのことも見てだ。
 智秋は内心驚いていた。しかしだ。
 そのパスタは美味くだ。健はまた言うのだった。
「それじゃあだけれど」
「それじゃあ?」
「もう一つ何か頼む?」
 こう提案してきたのだ。
「何かね」
「そうね。何かお勧めはあるかしら」
「あるよ。イカ墨ね」
「ああ、あれね」
「そう、イカ墨のスパゲティだけれど」
 かなりメジャーになってきているだ。このパスタがお勧めだというのだ。
「これはどうかな」
「じゃあそれも」
「あとはワインね」
 それも頼んでだ。二人で楽しくパスタとワインも楽しんだのだった。
 それが終わってからだ。二人は店を出てだ。町を歩いた。
 町は彼等と同じカップル達が行き来している。その彼等をちらりと見てだ。智秋はまた気付いたのだった。
「何かね」
「どうしたの?今度は」
「うん、私達以外にも」
 そのだ。彼等以外にもだったのだ。
「女の人の方が年上のカップルって」
「多いよね、実際に」
「あの子達って」
 目の前の若いカップルを見た。その二人はというと。
 女の子は自分達と同じ大学生の様だ。しかし男の子の方はというと。

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