暁 〜小説投稿サイト〜
忘れ形見の孫娘たち
10.グッバイひこざえもんプロジェクト進行中
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 プロジェクト始動から二日後、僕は鈴谷が持ってきてくれた大淀さんの資料に目を通す。これによると鈴谷の仲間たちの告別式の出席率は百パーセント。そのような機会をつくってくれるのならぜひ出席したいという声がほとんどだったようだ。

「……よかった。余計なおせっかいじゃなくて」
「大淀さん、がんばってたよー」

 分かるよ。この資料の出来は素晴らしい。簡潔にまとめられていて、それでいて詳細も分かるように見事に作りこまれてる。図案も分かりやすくて過剰ではない。まるでプレゼン資料のお手本のような作りだ。

 そして出席率百パーセントということは……爺様が唯一レベルキャップを開放した婆様そっくりの子、摩耶さんも来るということだ。摩耶さんも、これをチャンスに爺様の死を受け入れようとしているのだろうか。

 ……あるいは、未だに受け入れられない爺様の死を突きつける僕達に対する、抗議の意図がある出席なのか……どちらにせよ、成功へのハードルは大きく上昇した。

「こら失敗出来ないな……」

 身が引き締まる思いを感じつつ、皆の要望がまとめられたページを見る。爺様への挨拶をみんなにしてもらったあとすぐに解散てのも素っ気ないし、どこかでみんなでご飯とかは考えてはいたんだけど……

「あーそうそうかずゆき」
「んー?」
「大淀さんの資料ね、要望のところに何人か書き足してるみたい」

 あーなるほどそれでか。ところどころパソコンの文字じゃなくてどう見ても手書きな文字が入ってるのは……

『カズユキの家であそぶ!!』

 これはきっと涼風だろう。遊ぶのはいいんだけど、さすがに二百人近くの子がここに来て何して遊ぶ? 家の中に入ったらみっちみちになるよ? 涼風プランへのツッコミもそこそこに、他の手書きの意見に目を通す。

『Tea Timeやりたいデス(帰国子女なので)』

 うん。いやまぁプランとしてはまったく問題ないんだけど、帰国子女だから?

「それは金剛さんかな? あの人イギリス生まれだからね」
「だからティータイムが大切なのか」
「そうだよー」
「ちなみに鈴谷は紅茶はどうなの?」
「リプ◯ンの紙パックのやつをよく飲むかなぁ。1リットルのやつ」

 うーん……ザ・女子高生。僕が高校生の時もそうだったけど、その辺は今の女子高生も変わらないのか? つーか1リットルのやつなんか飲んでよく腹こわさないな……

 他にはどんなプランがあるんだー……どれどれー……

『焼き肉(加賀さんだけズルいので)』

 ズルい? 加賀さんの親友か何かだろうか? この人もかなりの食いしん坊さんみたいだな。

「ぁあ、その焼き肉ってのは赤城さん」
「加賀さんじゃないのか……」
「加賀さんもよく食べる人だけど、赤城さんはそれ以
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