暁 〜小説投稿サイト〜
流し目
1部分:第一章
[1/2]

[1] 最後 [2]次話

第一章

                          流し目
 こんな話がだ。彼女達の間で出ていた。
「えっ、顔じゃないの」
「胸じゃないの?」
「お尻でもない」
「髪型でもないの」
「そう。お母さん言ってたけれど」
 こうだ。雅麻衣はクラスメイト達に話す。長くやや癖のある黒い髪にだ。おっとりとしているがあどけなく可愛い顔立ちをしている。目は大きくはっきりとしていて優しい光を放ってだ。唇は小さい。鼻は程よい高さだ。背は普通だがダークブルーのセーラー服からもわかる位胸が目立っている。
 その彼女がだ。おっとりとした口調で話すのだった。
「女の子は目なんだって」
「目?」
「目なの?」
「目が大事なの」
「そう。目を使えば彼氏なんてすぐにゲットできるって」
 麻衣はこうクラスメイト達に話していく。
「お母さん言ってたの」
「ううん、そういうものかしら」
「何か違うんじゃ」
「っていうか目だけでどうにかなるものじゃないんじゃ」
「そうよね。目だけでなんて」
「無理よ、そんなの」
 彼女達は口々に言う。まさに全否定の言葉だった。
「目でどうなるのよ」
「目が奇麗っていうのは確かにいいことだけれど」
「それでも。目だけじゃね」
「顔とか胸の方が」
「それとか髪型とか」
「お尻に脚も」
 脚も加わる。とにかく目だけではどうにもならないだろうとだ。女の子達は話していく。しかしその彼女達にだ。麻衣はおっとりとした口調で話す。
「お母さん言ってたから」
「麻衣ちゃんのお母さんってあれよね。八条百貨店の屋上の花屋さんの」
「あそこの店長さんよね」
「お父さんと一緒にやってる」
「うん、あそこのね」
 まさにそうだとだ。麻衣は彼女達に話す。
「お店出させてもらってるのよ」
「薔薇とか蘭が一杯あるね」
「あの奇麗なお店よね」
「そこでよね」
「あの奇麗な人よね」
 麻衣の母親もだ。美人だというのだ。
「あんなに奇麗だったら困ることないと思うけれど」
「そうそう、麻衣ちゃんとそっくりだし」
「異様に若く見えるし」
 つまりだ。麻衣も美人だというのだ。
「あんた人だったらそれこそ誰でもね」
「もてない筈がないと思うけれど」
「ううん、それでもお母さん言うのよ」
 麻衣はおっとりとした口調のまま話していく。
「女の子って目だって」
「目って。じゃあ具体的にどういったことか」
「それを知りたいけれど」
「流し目がいいんだって」
 麻衣は話す。
「流し目で見るとね。いいらしいわ」
「流し目?」
「流し目がいいの」
「それがいいのかしら」
「そう。お母さんがお父さんをゲットした時もそうだったんだって」
 麻衣はおっとりとした口調のままだが話していく。
「流し目で
[1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ